ウルトラ宇宙人の意外な「地球に来た目的」 もはや「理不尽さ」を感じる

バルタン星人は「侵略者」じゃない?本当の目的から考える善悪

 ウルトラシリーズには、怪獣だけでなく遠い星からやってきた宇宙人が多く登場します。
そもそも彼らは何をしに、この地球へと飛来してきたのでしょうか。
最終的にはウルトラ戦士との死闘を繰り広げることになってしまった彼らの来訪理由、そこに潜む「理不尽」を直視しましょう。

『ウルトラマン』の第2話「侵略者を撃て」で、初登場を果たしたのが、バルタン星人です。
ウルトラシリーズを代表する人気宇宙人の彼らですが、その地球来訪目的はどこにあったのでしょうか。
タイトル通り、最初から「侵略」目的だったかといえば、事情は少し異なります。

 彼らがアラシ隊員の「脳髄を借りて」語るところによれば、彼らの故郷「バルタン」は、とある発狂した科学者の核実験によって爆発しました。
そして、たまたま宇宙旅行中で生き残ったバルタン星人たちが、移住可能な星を探し彷徨っている途中、
宇宙船修理のために立ち寄ったのが地球だったのです。

 旅行中に故郷を失った難民であったと考えれば、非常に気の毒です。
実際、劇中では「共生」の可能性が示唆されるのですが、最終的に地球の「侵略」に舵を切り、交渉は決裂。
以降、ウルトラシリーズにおける、長きに渡るバルタン星人との戦いが始まったのです。

『ウルトラセブン』の第6話「ダーク・ゾーン」に登場したペガッサ星人も、また複雑な背景を持っておりました。
アンヌ隊員の部屋に単独で潜んでいたペガッサ星人に、敵意はありません。
彼らは宇宙空間に超巨大な科学都市「ペガッサシティ」を築き生活していましたが、
軌道上に地球があることを知った彼らは、地球の軌道を一時変更することを要請するのです。

 当然、地球にそんな技術はありません。それを知ったペガッサ星人は、愕然とします。
アンヌ隊員の部屋にいた彼の正体こそ、まさにこの最悪の事態に備え、
あらかじめ仕込んでいた破壊爆弾で地球を爆散する任務を負った工作員だったのです。

 本人からしても、任務遂行に至るほど地球に文明が遅れているのは、大きな誤算だったでしょう。
まさに一概に「悪」と言い切れぬ背景を背負っている者が多いのが、ウルトラシリーズの大きな特徴です。

 とはいえ、『セブン』第7話「宇宙囚人303」のキュラソ星人のように、脱獄して地球へ逃げ込んできた凶悪犯もいました。
また、第18話「空間X脱出」に登場したベル星人は空中に「擬似空間」を生み出すのですが、
一体何故にこの「空間」を作っていたのかは明かされていません。そんな、目的不明な宇宙人も割といます。

 いずれにせよ、バルタン星人に対してまず、「対話」を試みた科特隊の姿勢、ここに込められたメッセージは、
今なお私たちに余りにも重くのしかかります。

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