サンマやサバなどの不漁が報じられるのを目にして、「日本は漁業大国のはずなのになぜ?」と疑問を抱く人は少なくありません。
しかし、日本の漁業が世界と比較して優位に立っていた時代はすでに過去のものになりました。

国連食糧農業機関(FAO)によると、2021年における世界全体の漁業・養殖業の生産量は、前年比で2%増の2億1800万トンでした。
1980年の約1億トンから倍増しており、徐々に増え続けています。

ところが日本の生産量は、増えるどころか減り続けており、前年比3%減の411万トンとなっています。
そしてついに統計が残る1950年以降で、初めてトップ10から陥落しました。

1980年代の1200万トンから、約3分の1に激減し、さらに減り続けています。
皆さんが知らないところで、世界とまったく対照的に悪化が続いています。
国内では、こうした世界の傾向との比較で日本の漁業・養殖業の非常に厳しい現実が紹介されることは、ほとんどありません

日本は1972年~1988年の長期にわたり、世界最大の漁獲量を誇る漁業国でした。当時は魚が当たり前に安く手に入っていました。
しかし、サバ、サンマ、スルメイカ、シシャモ、イカナゴ、サケなどをはじめ、自国の魚の資源を管理するシステムができていないことから獲りすぎてしまい、水産資源はどんどん枯渇に向かっています。
一方、人口増加に伴い世界中で水産物の需要が増え続けています。

このため日本の「買い負け」が常態化し、自国の魚が減った分を補ってきた輸入という手は、今後ますます難しくなります。

https://toyokeizai.net/articles/-/669337

https://tk.ismcdn.jp/mwimgs/d/1/1000/img_d1cd69690044180699d458b4ec9ebe68156752.jpg
https://tk.ismcdn.jp/mwimgs/9/b/1000/img_9beaf8bab74f691f3ca800cba9d2ae13100035.jpg