https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/147586
岡山市内のアパート。50代の男性はいま、この場所で一人で暮らしています。
■3度自殺を図った男性「歯車が狂ったらそっちの方向へ行ってしまう」
男性は、これまで3度自殺を図りました。きっかけは繰り返される妻の暴言、暴力。自分にも非があることを認めながらも、男性は追い詰められていきました。
今は離婚し、一人になりました。
(自殺を企図した男性)
「(水槽の魚に)えさ与えると動くでしょ、元気もらうよ、死ぬのは可哀相だけど」
妻のDVに耐え切れず、次第に増していったという「死にたい気持ち」。結婚した当初は思ってもみなかった心の揺れでした。
(記者)「なぜ死のうと?」
(自殺を企図した男性)
「生きていても仕方ない。思ったことない?自分」
「極度まで落ち込んだらそうなってくるって、人間。普通の生活が出来れば考える必要ない。どこかで歯車狂ったら、そっちの方向へ行ってしまうよ」)
■そして向かった東尋坊(福井県) 断崖絶壁で引き留めてくれた人がいた
男性が死に場所に選んだのは、岡山から遠く離れた福井県。断崖絶壁に座り込み、覚悟を決めようとしていました。
男性は、そのとき引き留められました。
(茂幸雄さん)
「一人で泣いて酒を飲んでた。『何しとんや』と、『ほっといてくれ』と大問答」
『オレの悩みを解決できるのは誰もいない』って、『皆に相談したけど駄目だったって』。。。ま、岡山まで行って彼を離婚させましたよ」
福井県坂井市・東尋坊。日本海を臨む、年間120万人が訪れる景勝地です。しかしこの場所にはもう一つの顔があります。
海を臨む、通称「救いの電話」に書き込まれた「生」と「死」のやりとり。
もう1度思い留まって欲しいと置かれた電話代の10円玉。
この場所では日々、「死にたい人」と「救う人」との、命の攻防が繰り広げられています。
■18年で755人の自殺企図者を引き留め救った “命の番人”茂幸雄さん
この場所で自殺防止活動を行なう、茂幸雄さんです。ボランティアスタッフらとともに毎日、自殺を食い止めようと一帯を巡回しています。
(茂幸雄さん)
「何県から来られたん、大阪から?休み?今晩どうされるんですか?」
(観光客の男性)
「金沢に行きます」
(茂幸雄さん)
「まさか飛び込みに来たんじゃないだろな、と思って。そうか良かった。そういう人がいないか、いま探して歩いとる、はははは」
■事務所には、1週間前に引き留められた人たちが
土産物店が並ぶ、東尋坊の入り口に設けられた、茂さんの事務所です。
(スタッフの女性)
「もうおなかいっぱい?なんで?いつもそんなんね。食べないと」
事務所には、前の週に自殺をしようとして保護された2人が訪れていました。
2人とも死への恐怖を抱えながら、東尋坊をさまよっていたところを、スタッフに発見されました。
「この世の中は修行の場、苦しいんや。みんな苦しい楽しいことは年1〜2回。毎日楽しかったら人間アホになってしまう」
「自分で自分を鍛えると言うか、あんたよりまだまだ不幸な人たくさんいるでな、日本には」