占師の言葉、どう解釈?=回答者・渡辺えり
街の占師に占ってもらうと「あなたの仕事または職探しのキーワードは、この世界にありません。
今、この世界にないものを生み出すことです。他の仕事をするよりもお金を稼げます」と言われました。
占いの時間が5分ぐらいで詳しく話を聞けなかったのですが、私は少し気になっています。
この言葉を解釈するとしたら、どのように考えますか。(24歳・女性)
「不老不死の薬を発明する」「世界平和を創造する」「自由と平等を生み出す」「認知症を治す薬を開発する」
「3D映像に匂いと感触を感じられるようにして、実物と同じように登場人物やセットがそこに現れる映像をつくる」
「死んだ人を生き返らせる何かを開発する」……。
いまだこの世にない物をいろいろと考えてみましたが、子供を産んで育てることも、その占師の言っていることに当てはまるので、
解釈次第ではどんなふうにも捉えられると思いました。
昔、ミヒャエル・エンデが「自由の牢獄(ろうごく)」という短編小説を書きました。
人類がみんな小さなカプセルに入り、生まれてから死ぬまで夢を見て過ごす。豊かで幸せな暮らしを体験していると思い込んだまま死んでいく。
戦争もなく、貧富の差もない楽園に生活していると脳では思いながら眠り続けます。
私も亡くなった友人の夢を見て、目覚めた途端に大泣きしてしまうことがあり「夢よ、覚めるな!」と夢の中で叫ぶ時もあります。
しかし、つらいこと、苦しいこと、そして孤独に震え絶望する生身の感覚があるから、人は喜びやうれしさ、愛を感じるのかもしれません。
あなたも占師の言葉は暗喩と捉え、自分でやりたい何かを具体的にやり始めてください。(劇作家・俳優)
https://mainichi.jp/articles/20230506/ddm/013/070/022000c