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「デートレイプドラッグ」簡易検査キット 警視庁が都内の全警察署に配備 薬物使用の性犯罪NO! 相談者の尿で即確認
睡眠薬など「デートレイプドラッグ」と呼ばれる薬物を使った性犯罪の捜査に生かすため、警視庁が全国の警察で初めて独自の簡易検査キットを民間企業と共同で開発し、今月下旬に都内の全警察署に配備した。被害の相談に訪れた人の尿から数分で、薬物成分の有無を調べられるという。(榊原大騎、鈴鹿雄大)
捜査一課によると、相談者の体内に残った薬物の成分を本鑑定するには一カ月を要することもある。キットは詳しい成分は特定できないが、ドラッグを使用した可能性をすぐに確認できる。この導入により初動捜査を早めることができるようになった。昨年十二月に試験運用を始めて以降、実際に十件以上の活用例があり、一部では容疑者の摘発につながった。
デートレイプドラッグを使った性犯罪は、都内で年に二十件ほど確認されている。飲食店で席を立った隙に、飲み物に混入する手口が目立つという。
国府田剛課長は「デートレイプドラッグによる犯罪をなくしていく」と話している。
◆捜査員インタビュー 初動捜査 被害者に寄り添う
簡易検査キットの開発に携わった警視庁捜査一課の捜査員が、報道陣の取材に応じた。主なやりとりは次の通り。
−キットをどう活用していくのか。
性犯罪被害者を一人でも減らしたい。その場で簡易に判定できれば、事件性の有無を早期に見極めて初動捜査に当たれる。これまでは本鑑定の結果が出るまでに気持ちが落ち込む被害者がたくさんいた。最初の段階で被害が確認できれば、被害者に合った支援ができる。
−これまでは本鑑定結果が出るまでの間に事件化を諦める人もいたのか。
最初の段階では、薬物の影響か酒の飲み過ぎか分からず、自分を責める被害者も多い。キットで簡易に検査ができれば、最初から「薬物を使う方が悪い」と声をかけられる。
−被害者に呼びかけを。
警視庁では二十四時間対応可能な相談窓口を設置している。悩んでいる人はホームページなどから確認して気軽に相談してほしい。