映像などを作り出す人工知能(AI)の活用に伴い、映画や演劇に従事する人の権利侵害が進みかねないとして、
一般社団法人「日本芸能従事者協会」(東京都)は8日、クリエーターの権利保護を訴える要望書を文化庁などに提出した。

協会代表理事で俳優の森崎めぐみさんは同日、都内で記者会見し、著作権法による権利保護が必要だとして
「このような状況でAIが進むことは、私たちの生活に関わる問題だ。十分に配慮してほしい」と求めた。

要望書では、芸能に携わる労働者の大半は企業に守られていない個人事業者だとして
「トラブルがあったときの訴訟は難しい」と指摘。著作権保護の仕組みが不十分なまま、
AIの活用が進むことで「多くの人材が仕事を失いかねない」として、法整備などを含め環境改善の必要性を訴えた。

協会がフリーの芸能従事者に労働実態を尋ねたアンケートでは、AI技術の進歩に伴う懸念が多く寄せられているという。

声優や舞踊家からは、自身の演技をAIに学習され、これを元に創作物が容易に生成されることへの懸念が上がった。
また、スタッフが担ってきた役割をAIに取って代わられることで「技術が継承できなくなる」(スタントマン)とする声もあった。
https://mainichi.jp/articles/20230508/k00/00m/200/170000c