宇宙を飛びまわる宇宙船に乗り組んで、大宇宙の中を探検する。もし、そんなことができたらどんなにすばらしいことでしょう。では、こういう宇宙船からみると、宇宙のすがたはどのように見えるのでしょうか。この宇宙船の前につきだしている、宇宙展望台からながめてみることにしましょう。
 宇宙船の速さが光の速さに比べて十分おそいときは、私たちが地球上からみる景色とそれほど変わりがありません。全天に広がる暗い宇宙の中に星が輝き、そのほかの天体も観測されます。たとえば、私たちの地球も太陽のまわりを秒速30kmの速さでまわっている宇宙船と考えてもいいのです。では宇宙船のスピードを上げて、しだいに光の速さに近づいていってみましょう。
おやおや、ちょっと、宇宙の星のみえかたが変わっていくようです。さきほど宇宙船の娯楽室でみたSF映画では、光速に近い速さの宇宙船から外を見ると、星がものすごい速さで後ろに飛びさっているようになっていました。でも、本当はこのSF映画とはぜんぜんちかっているようです。
 全天にちらばっている星は、だんだんと前の方によってきて、宇宙船のスピードが速くなればなるほど、前方に集中していきます。はじめに宇宙船の横や後ろの方向に見えた星まで、前の方に見えるようになってきました。これは、じつは光行差という現象なのです。

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