救急車のサイレンが近づいてくると、われに返った。「これからどうなるのだろう」。現実感がぶわーっと押し寄せてきた。駆けつけた救急隊員に事件だと打ち明ける勇気は出なかった。

 翌日、夫に長男を殺したことを告白した。夫は動揺していた。残された娘たちのため、自首しないと決めた。京都府警の捜査員も事件だと気付かなかった。

 その後、夫とは離婚。親族と娘2人を育てながら過ごした。ただ、わが子を手にかけた後悔が消えることはなかった。「苦しくて、一人では抱えきれない」。事件から3年半が経過するまでには、妹や知人など数人に犯行を打ち明けた。「聞かなかったことにする」「残された子どもたちを守れ」と口々に言われた。

 事件から約4年後の2021年11月22日。知人の通報がきっかけとなって、女性は殺人容疑で逮捕された。最初は知人を恨んだ。でも、正直ほっとした。自責の念に駆られながら過ごした4年間は、まさに生き地獄だった。

https://news.yahoo.co.jp/articles/b57fec7a31f5a262af61c8d6a1df23f9df7602d3?page=3