ジェイムズ・ギャラガー保健・科学担当編集委員

イギリスの保健当局はこのほど、同国で初めて、3人のDNAを持つ赤ちゃんが誕生したと明らかにした。

この赤ちゃんのDNAはほとんどが両親のものだが、別の女性提供者のものが約0.1%含まれるという。当局は、3人のDNAを使った赤ちゃんはこれまでに最大5人生まれているとしたが、それ以上の詳細は明らかにしていない。

この先端技術は、親から赤ちゃんにミトコンドリア病が伝わるのを防ぐことを目的としている。

ミトコンドリア病は治療法がなく、出生後数時間から数日で死に至る可能性もある。この病気で子供を何人も失っている家族もあり、今回の技術は、そうした家族にとって健康的な子供を授かる唯一の手段とみられている。

ミトコンドリアは、体内のほぼ全ての細胞に存在する小器官の一つで、細胞のためのエネルギーを作り出している。

機能不全のミトコンドリアは身体にエネルギーを送ることができず、脳損傷や筋力の低下、心疾患、失明などを引き起こす。

ミトコンドリアは母親からのみ受け継がれる。そのためミトコンドリア提供による治療は、提供された健康な卵子からミトコンドリアを使う、体外受精(IVF)の改良型ともいえる。

一方で、ミトコンドリアは独自の遺伝情報を持つため、この技術を使って生まれた子供は理論的には、両親のDNAと、ほんのわずかなミトコンドリア提供者のDNAを継承する。この変化は永続的なもので、その後の世代に引き継がれる。

提供者のDNAはミトコンドリアに作用するものだけなので、容姿などの遺伝には影響せず、「3人目の親」としても認められないという。

3人のDNAを持つ赤ちゃん、イギリスで初めて誕生
https://news.yahoo.co.jp/articles/1d02cb02c7a8e1d3509116a64ae52173574d7135