3世紀前半の木製仮面、大阪の遺跡で出土 農耕儀礼で使用か(産経新聞)
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大阪府文化財センターは、大阪府東大阪市の西岩田遺跡で3世紀前半のものとみられる木製仮面が出土したと発表した。この時代では国内3例目の木製仮面。炭化した鍬(くわ)や水をためる容器などの木製品もあわせて見つかっており、水と火を駆使した農耕儀礼で使われたとみられるという。
【写真】出土時の様子。左上の木製仮面とともに炭化した鍬形木製品や水を入れる器「槽」も見つかった
同センターによると、木製仮面はスギ材で作られ、長さ29・9センチ、幅17・7センチで厚さは最大2センチ。表面には両目と口の部分に穴があり、中央部は周囲を削り出して鼻のように隆起させている。右側の一部が欠損しているが、ほぼ全体が分かる形で残っていた。
西岩田遺跡は、河内平野北部にある古墳時代中期以降の集落跡。木製仮面は昨年6月、大阪モノレールの延伸事業に伴う発掘調査で、洪水堆積層の地下2・9メートル地点から見つかった。洪水によって近隣の別の集落から運ばれてきた可能性があるという。
同時代の木製仮面は、奈良県桜井市の大福遺跡で見つかった2世紀後半頃のものが国内最古。その後、ヤマト王権誕生の地とされる纏向(まきむく)遺跡(同市)でも2世紀後半から3世紀初頭に作られたとみられる仮面が出土しており、目の仕上げの粗さなどに共通点がある。
桜井市纏向学研究センターの寺澤薫所長は、仮面は厚みや重さがあって装着には不向きで、儀礼の際に手で掲げるか置いて使用したものとみられると指摘。「ヤマト王権成立後の農耕儀礼を知る手がかりになる」と話している。