シャープ液晶が再び経営圧迫 子会社立て直しへ
令和5年3月期の最終損益が2608億円の赤字(前期は739億円の黒字)となったシャープ。昨年、海外ファンドから買い戻して完全子会社化した液晶パネル製造「堺ディスプレイプロダクト(SDP)」(堺市)の業績悪化が響いた。競争が激しい液晶事業を継続する難しさが露呈した格好だ。
シャープは平成21年、約4300億円を投じてSDPの前身工場を設立した。だが韓国や中国勢との競争激化などで収益性が悪化。業績を圧迫し、24年以降、段階的にSDP株を売却。28年には鴻海精密工業の傘下入りを余儀なくされた。
昨年6月にSDPを買い戻した際は、鴻海出身で当時のシャープ経営トップだった戴正呉(たいせいご)氏が主導した。新型コロナウイルス禍の巣ごもり特需などで伸びていたテレビ向け液晶パネル需要をつかむ狙いだったが、反動減で一転減少に。また、スマートフォン同様、テレビでも液晶から有機ELパネルへのシフトが進んでおり、工場の稼働率は思うように上がらなかった。
戴氏から経営を引き継いだ呉柏勲(ごはくくん)最高経営責任者(CEO)は、11日の決算会見で「予想しえなかった事態が起きたことが原因」と説明。業績改善へ向け、SDPでのテレビ向け大型パネルの生産比率を引き下げ、中型小型パネルなどの生産を拡大する方針を示した。また、SDPの敷地について呉CEOは「十分な建物があり、インフラも整っている」と述べ、半導体関連事業での利用も示唆した。
https://www.sankei.com/article/20230511-RV75ASV3KJLVPGAHMZ5KTXUDTI/