米ツイッター社の共同創業者で元最高経営責任者(CEO)のジャック・ドーシー(46)が、ツイッターでの発言を控える一方、自ら資金を提供した新興SNSのブルースカイやNostrに頻繁に投稿している。そのなかには同社を買収したイーロン・マスクへの運営への批判も含まれている、と米紙「ニューヨーク・タイムズ」が報じている。
マスクは最高の管理者「ではない」
同紙によると、ドーシーは2023年1月にNostrのアプリを宣伝するツイートをして以来、ツイッターにほとんど投稿していない。一方、Nostrには1日当たり平均59回投稿。先月には、メルマガ配信サービスのサブスタックへのツイッターからのリンク制限について、批判的な書き込みをしていた。
さらに先月末、ブルースカイの一連の投稿でマスクのリーダーシップに対して「これまでで一番鋭い評価を下した」。
ドーシーはユーザーからの「マスクはツイッターの最高の管理者だろうか?」という問いに対し、「いいえ」と断言。「すべて間違った方向に行ってしまった」と、マスクのツイッター運営について批判し、「しかし、これはもう起こったことで、われわれが今できることは、2度とこれが起こらないように何かを作り出すことだ」と記した。
同紙によると、ドーシーの投稿のほとんどはコードを公開することで改変や再頒布が可能になる「オープンソース」技術や暗号通貨に関するものだが、なかには公然とマスクの舵取りを批判する内容も含まれているという。
元ツイッター取締役のジェイソン・ゴールドマンは、ドーシーの最近の言動について「彼が何らかの主義主張のために、ツイッターでの発言を控えていたとしても驚きはしません」とコメント。さらに「(ドーシーは)イーロン・マスクの下でツイッターがいかにうまくいっていないかを認めています」と話している。
かつては「唯一の解決策」だったのに
同紙はドーシーとマスクについて「長い間浮き沈みの激しい関係だった」とし、これまでの経緯を振り返っている。
ドーシーは2022年、マスクによるツイッターの買収を支持。当時「原則的に、私は誰もツイッターを所有したり運営したりするべきではないと考えている……しかしながら会社であるという問題があり、それに対しては、イーロン(マスク)は私が信頼する唯一の解決策だ」などとツイートしていた。
しかし、マスクは同年10月の買収完了後、ドーシーが厳選した多数の幹部を解雇し、従業員の約75%をレイオフ。オフィス賃料の支払いを拒否し、コンテンツの監視・管理の方針を変更した。
こうしたなか、ブルースカイやNostrでドーシーはマスクとツイッターに対する批判を書き連ねてきたという。
「ツイッターの上場も後悔」
同紙によると、ドーシーは近年は「ツイッターの方向性に失望しているようだった」という。なかでも、言論の自由を支持するドーシーは、投稿内容の削除可否を決める裁定者としてツイッターは強力になりすぎたと嘆いており、2022年5月の同社の取締役を退任後、ツイッターは分散型SNSとして構築されるべきだったと発言している。
分散型SNSについては、システムを公開することでユーザーが独自のアプリやコミュニティを構築できる可能性があり、こうすることで、単一の団体や個人が発言内容に関する規則を課すことができず、ユーザーは自身の体験をカスタマイズすることができる、などと同紙は説明している。
さらに2023年4月30日にはドーシーは、Nostrでそもそもツイッターを上場させ、会社化したことを後悔していると述べた。
一方、ツイッターの広告依存度を下げようとする取り組みについては賞賛。マスクに対して分散型技術もしくはオープン・プロトコロルを用いて、ツイッターをより開かれたサービスにするよう勧める以下ようなコメントもしているという。
「こうしたオープン・プロトコロルをベースにすることで、多くの問題が解決され、非常に素晴らしいビジネスが可能になることをいずれ彼(マスク)が理解することを願っている。今後どうなるか見てみよう」
https://courrier.jp/cj/325249/