落雷でこれまで地球上で存在が確認されていない新物質が生成されたとの報告
雷は比較的身近な自然現象ですが、大規模な放電で発生した高エネルギーにより反物質が生成されることが判明するなど、まだまだ科学的な発見の尽きない現象でもあります。新しく、木に落雷した跡地で見つかった閃電岩(フルグライト)という鉱物の中から、宇宙の物質と地球上の鉱物の間にあるギャップを埋めるまったく新しい鉱物グループが見つかった可能性があるとの論文が発表されました。
以下は、サウスフロリダ大学の地球科学者であるマシュー・パセック氏らがフロリダ州の落雷現場から回収した、「雷の化石」ことフルグライトの写真です。このフルグライトは中が空洞になったチューブ状のガラス質でできており、大きさは直径2センチ、長さ7センチでした。
このフルグライトが見つかったのは、フロリダ州ニューポートリッチーの民家です。落雷の痕跡から鉱物を見つけた家主は、それが価値のあるものだと気づき、売りに出すことにしました。そして、それを購入したパセック氏は、イタリア・フィレンツェ大学の結晶学者であるルカ・ビンディ氏らとともに鉱物の分析をしました。
フルグライト自体も希少な鉱物ですが、パセック氏らの研究チームの分析により、このフルグライトの中に亜リン酸カルシウム(CaHPO3)に似た特異な物質が隠されていることが判明しました。
この物質を構成するリンやカルシウムといった元素はいずれも一般的なものなので、一見するとそれほど珍しくないように思えます。しかし、研究チームによると自然界にあるリンの鉱物は酸化数が「+5」のものと、「-1」のものしか見つかっておらず、今回見つかった酸化数が「+3」のものは、天然の鉱物からは見つかったことがないそうです。
パセック氏はこの物質について「これが地球上に自然に存在するのは見たことがありません。いん石や宇宙空間でよく似た鉱物が見つかることはありますが、まったく同じものは見たことがありませんでした」と話しました。
https://gigazine.net/news/20230514-lightning-bolt-strange-mineral/
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