焼き鮭の「皮」、食べる? 捨てる? 実は栄養豊富って本当? 管理栄養士に聞いてみた

食卓に上る機会の多い「焼き鮭」。あなたは、焼き鮭についている皮を一緒に食べますか。それとも、食べずに残して捨てますか。ネット上では、焼き鮭の皮について、「おいしいから大好きです」「パリパリに焼いた皮がたまらない」「残すなんてあり得ない」という人と、「いつも残します」「脂が多くてカロリーが高そうだから食べない」「食感が好きじゃない」という人に分かれているようです。

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 食べるのか、それとも捨てるのか……焼き鮭の「皮」はどうするのがよいのでしょうか。管理栄養士の岸百合恵さんに聞きました。
皮のカロリー、実は「さほど高くない」

Q.焼き鮭の皮にはどんな栄養素が含まれているのですか。

岸さん「鮭は、皮にも身の部分と同じような栄養素が全体的に含まれますが、鮭の赤い身に含まれる特徴的な色素成分『アスタキサンチン』は含まれません。しかし、皮には、他の動物性のコラーゲンよりも吸収率や純度が高いといわれる『フィッシュコラーゲン』と呼ばれる良質なコラーゲンが、そして皮のすぐ下の脂質には、コレステロールや中性脂肪を減らし、生活習慣病予防に効果を発揮する『DHA』『EPA』が豊富に含まれています。

これらの栄養素の他にも、鮭の皮にはビタミンA、B1、B2、D、Eなどのビタミン類やカルシウムが含まれます。しかし皮を取り除いて食べた場合、EPA、カルシウム、ビタミンEは25%程度、銅(ミネラル)は50%近く減少することが分かっています。

食感や味に関しては、パリッと焼けている鮭の皮は香ばしく、うまみも凝縮されているため、好まれることが多いですが、しっかり焼けていないときの独特の生臭さと、フニャっとした食感は『好きではない』と感じる人が多くなるのではないでしょうか」

Q.焼き鮭の皮について、「食べる」人と「食べない(捨てる)」という人に分かれるようですが、この部分は本来どうするのがよいのでしょうか。

岸さん「皮を食べるか食べないかは、食感や味などの好みの違いもあり、必ずしもこうすべきということはありません。ただ、カロリーについては『皮は油っぽいのでカロリーが高そう』と控える人もいるようですが、実際は1食(14グラムの場合)あたり67キロカロリーで、さほど高くありません。

先述したように、鮭の皮はコラーゲンやビタミン類などを豊富に含みますし、皮を取ってしまうと、身の下にあるDHAやEPAを含む脂肪も一緒にはがれてしまう可能性が高いです。貴重な栄養素を摂取し損ねるのはもったいないことではあるので、『何となく残している』という人は、どうしても苦手でなければぜひ食べてほしいと思います」

Q.焼き鮭の皮をおいしく食べるための調理法や、注意点とは。

岸さん「鮭を焼く前の下処理として、下味の塩を振った後、10分程度置いておき、表面に出てきた水分を拭き取ってから焼きましょう。こうすることで下味付けだけでなく、臭み取りも行えるので、皮のおいしさも格段に変わります。

皮は、ふたをせずにレンジで加熱し、おせんべいのようにするとパリパリ感を楽しめたり、細かく刻んでチャーハンに混ぜ込むと鮭のうまみを堪能できたりします。

一方で、ホイル焼きや鍋、シチューなどの汁物に使用した方が、皮も食べやすいと感じる人もいると思います。これらは、脂の酸化や加熱によるDHA・EPAの減少が気になる場合にもお勧めの食べ方です」

https://news.yahoo.co.jp/articles/ce533f7c38e652c891439e60f4658e4f679ecfa5