【ワシントン時事】イエレン米財務長官は16日の講演で、連邦政府の借入限度額である「債務上限」の問題を巡り、デフォルト(債務不履行)懸念で金利が上昇するなど既に影響が出ているとの見方を示した。デフォルトの状態が長引けば、2008年の「リーマン・ショック」に匹敵する経済の落ち込みに見舞われると警告した。
デフォルト回避には、議会が速やかに上限を引き上げる必要があるが、協議が難航。イエレン氏は前日、議会指導部に対し、6月1日までに上限を引き上げられなければ、政府はすべての支払いに対応できなくなると伝えた。
イエレン氏は講演で「時間切れが迫っている」と明言。投資家が、6月初めが償還期限の米国債保有を控えていることで金利が上昇し「納税者の債務負担が増加している」と述べた。
また、大統領経済諮問委員会(CEA)の試算を踏まえ、デフォルトが長引けば800万人超の雇用が失われるなど、「リーマン時と同等の厳しい景気落ち込みをもたらす可能性がある」と強調した。
中堅銀行シリコンバレー銀行(SVB)の経営破綻後、さらに銀行破綻が続くなど、「いくらか余波があった」と認めた。しかし、相次ぐ破綻が「銀行システムの根本的な健全性の変調を示すものではない」と説明した。
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