G7、経済威圧に対抗へ 中国依存の日本は転換点

先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)は20日、首脳声明をまとめ、経済的威圧に対抗するための新たな枠組みの立ち上げることを打ち出した。中国やロシアなどが経済を武器に、他国への威圧行為を繰り返しているためだ。特に〝世界の工場〟の中国による威圧行為は脅威で、米国を中心に重要物資のサプライチェーン(供給網)から、中国を排除する動きが加速するのは必至だ。中国と深い経済関係にある日本も、関係性を見直す転換点に来ている。

「経済的依存関係を武器化する試みが、失敗に終わり報いを受けることを確保すべく、協働していく」。声明には各国首脳の強いメッセージが盛り込まれた。

枠組みの名称は「経済的威圧に対する調整プラットフォーム」。声明には、この枠組みの下、早期警戒や情報共有、定期的な協議、状況評価を行い、協調して経済的威圧を抑止すると明記した。

各国経済の相互依存が強まる中、中国は政治的な思惑などで敵対する国との貿易を急に止めるといった威圧行為を繰り返している。近年の台湾産パイナップルの禁輸やオーストラリア産ワインへの制裁関税措置などはその典型だ。こうした行為が重要物資に及べば影響は甚大で、今回の首脳声明では半導体や重要鉱物、蓄電池などを対象に、同志国間で供給網を強化することでも合意した。

こうした中、難しい対応を迫られるのが中国と深い経済関係にある日本だ。日本企業の海外拠点の4割は中国に立地し、貿易面でも平成19年に米国を抜いてからは、最大の取引相手国として輸出も輸入も拡大基調が続いている。中国という巨大市場を安易に手放せば、日本の成長にとってもマイナスとなる。

ただ中国依存が高ければ、威圧の矛先が向けられた際の影響も大きくなる。PwCジャパンのピヴェット久美子シニアマネージャーは「一部の企業では中国事業を維持しつつ、別の国でも供給網を作るなどの工夫が取られ始めている」と指摘。その上で「政府がこうした動きを支援することも重要だ」と話している。(蕎麦谷里志)

https://www.sankei.com/article/20230520-MGFZMWQRZ5LVHE36WV5OJCDRZ4/