>>328 しかし、労働生産性では、評価に歪みが出る可能性があります。なぜなら、
企業は生産性の高い人から順番に雇っていく傾向があるからです。
すると失業率の高い国では生産性が高くなります。実際、失業率の高い国の生産性は高い傾向があります。
イタリアもフランスも、図1で見たように、日本より生産性が高いですが、その失業率はそれぞれ11.3%と9.4%です
(2017年の値。IMF, World Economic Outlook Database, October 2018)。しかし、失業率が高いとは、
働きたいのに働けない人がいるということです。これは不幸なことです。
失業率が低い、働きたい人がすべて働けた方が良いに決まっています。
そこで、生産年齢人口一人当たりの実質購買力平価GDPという指標を考えてみました。
これですと、働きたい人が働いていれば高く、働いていなければ低くなり、歪みは小さくなるはずです。
生産年齢人口一人当たりの実質購買力平価GDPを見たのが図2です。図と付表に見るように、
QQE後の日本の成長率は主要国の中で最高となり、過去10年のトレンドよりも明らかに高くなっています。
働きたい人が、より働けるようになったからです。
https://i.imgur.com/YjJ0tPv.jpg 生産年齢人口一人当たりの実質購買力平価GDPのレベルを見ても、イギリス、フランス、カナダと並んで主要国の中位となります。
以上見ましたように、金融緩和とともに生産性は上昇しています。ではなぜ、経済学に反して、
金融政策によって生産性が上昇したのでしょうか。なお、ここでの生産性は、労働時間当たりの生産性が上昇したこと、
働きたい人がより多く働けるようになったことの両方を含みます。