高速実験炉「常陽」 事実上合格示す審査書案 原子力規制委

国が実用化を目指す高速炉の国内唯一の実験施設で、茨城県にある日本原子力研究開発機構の高速実験炉「常陽」について、原子力規制委員会は運転再開の前提となる審査に事実上合格したことを示す審査書の案をとりまとめました。

茨城県大洗町にある「常陽」は、プルトニウムを燃料に使う高速炉を開発するための小型の実験炉で、1977年に運転を開始しました。

2007年にトラブルを起こして以降運転を停止していて、原子力機構は来年度末までの運転再開を目指し原子力規制委員会の審査を受けてきました。

24日開かれた会合で規制委員会は、原子炉の冷却に使うナトリウムによる火災への対策や、炉心が損傷した場合の事故の拡大防止など原子力機構が示した対策は規制基準に適合しているとして、審査に事実上合格したことを示す審査書の案をとりまとめました。

今後は、一般から意見を募るパブリックコメントなどを経て、正式に合格となる見通しです。

高速炉は、政府が原発の最大限の活用に向けて開発を進めるとしている次世代原子炉の一つに位置づけられていてますが、開発の中心だった福井県にある研究用の原子炉「もんじゅ」はすでに廃炉になっています。

原子力機構は、国内唯一の実験施設である「常陽」を活用しながら、アメリカやフランスなどとの国際的な技術協力を進めて、高速炉の研究開発を続けたいとしています。

松野官房長官「運転再開により得られる知見を活用」
松野官房長官は、午後の記者会見で「高速炉は、高レベル放射性廃棄物の容量を減らす『減容化』や有害度の低減、資源の有効利用などの観点からも重要で、わが国の技術は、アメリカやフランスなどからの期待も大きい。
『常陽』の運転再開によって得られる知見を活用するとともに、運転を通じた技術、人材の維持・強化を図っていくことが重要と認識している」と述べました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230524/k10014076681000.html