2022年1月、同居する妻子を包丁で刺殺したとして殺人の罪の問われた、鹿児島市吉野町、無職の男(35)の裁判員裁判論告求刑公判が24日、鹿児島地裁(中田幹人裁判長)であり、検察側は「そううつ病も影響していたが、完全責任能力はあった」として、懲役20年を求刑した。判決は29日。
検察側は、事件直前の21年12月も男が通常通り勤務していたとして、男のそううつ病の程度は低かったと指摘。「首を狙って強く刺すなど、自らの意思に基づく強い殺意があった。被害者に落ち度はなく、身勝手な動機に酌量の余地はない」と論告した。
弁護側は「職場から年賀状が届かず解雇されたと思い込み衝動的に動機が形成された。うつ症状により他の選択肢を考えられなかった」と述べた。「攻撃的な犯行は、元々の人格か病気によるものかを断定できず、完全責任能力を認定できない」として、懲役3年執行猶予5年が相当と主張した。
起訴状などによると2022年1月1日午前8時25分ごろから同11時55分ごろまでの間、自宅アパートで、妻=当時(28)=と、生後10カ月だった長女の首をそれぞれ包丁(刃渡り約18センチ)で突き刺し、失血死させたとされる。
一家は3人暮らしで、妻と長女は居間で首などから血を流して倒れていた。男は水を張った浴槽の中で首などから血を流した状態で見つかっており、19日の被告人質問で「死ぬために自分で数回刺した」と供述していた。
男の退院後の同年1月14日に県警が逮捕。6月まで精神状態を調べる鑑定留置をしていた。
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