日本の自動車メーカーが世界のEV市場で苦戦を強いられる一方、米国では中古の「軽トラ」ファンが増えているという。その人気の秘密は、米国車や新車が取りこぼしているニッチなニーズを満たしているところにあると、英経済誌が報じている。
ノースカロライナ州ローリー郊外で農業を営むジェイク・モーガンは、数年前、自分が所有する土地を移動するための車両がほしくなった。

当初は、サイド・バイ・サイドと呼ばれるオフロード車両の購入を検討していた。だがある日、米農機具メーカー「ジョンディア」の車両の製品レビューを見ているときに、次のような気になるコメントを見つけた。

「軽トラを買えばいいのに」

「信じられないほど便利」

「軽トラ」とは、四輪の小さなピックアップ・トラックのことで、主に日本で製造される。日本では、小型車にかかる税金のほうが大型車よりも安いため、その利点を生かした車両だ。

軽トラについて調べはじめたモーガンはその数ヵ月後、南東部の街ニューポートまで車を走らせ、1997年製造のホンダのアクティをわずか2000ドルで購入した。検討していたジョンディア社の車両は、約3万ドル(約415万円)もしたのだ。

この選択に、モーガンはおおいに満足した。格安だっただけでなく、アクティは車幅が1.5メートル未満なので、モーガンの納屋のように普通のピックアップ・トラックでは入れない狭い場所にも入れることができた。

しかも、軽トラはサイド・バイ・サイドとは違い、公道を走ることもできる。「信じられないほど便利です」と言うモーガンは、最初の1台を購入してからほどなくしてそれを売り、もう1台軽トラを購入した。2台目の車両にはエアコンやダンパーを操作するスイッチもついていて、さらに使い勝手がよいという。

日本で米国向けに軽トラが製造されたことはない。多くが新車に求められるエアバックなどの安全装置を備えていないし、米国で輸入が禁止されている右ハンドルだ。しかしながら、製造から25年以上が経った車両はクラッシックカーと見なされ、輸入可能になる。



https://news.yahoo.co.jp/articles/5ae11864b62743f3d69bebe26bbc8c89825bfd1e