東京都内の梅毒患者が前年1・5倍、過去最多ペース…「市中感染」広がっている可能性

 性感染症の「梅毒」と診断された都内の患者数が過去最多のペースで増えている。今年に入って1422人(今月21日時点)に達し、年間の患者数が最多だった昨年の同時期(1188人)より約2割多い。都は検査態勢を強化して注意を呼びかけている。

 都によると、昨年の年間患者報告数は3677人で、現在の調査方法となった1999年以来、最も多かった。前年の1・5倍、2年前の2・3倍と右肩上がりに増えている。性別や年代別で見ると、男性は年代にばらつきがあるが、女性は約7割が20歳代だった。

 梅毒は全国的にも増加傾向で、国立感染症研究所によると、14日時点の報告数は5164人と、前年同期より4割以上増えている。性的な接触で感染する疾患だが、患者の中には、性風俗店の利用歴や勤務歴がない人が3割程度いて、市中で感染が広がっている可能性があるという。

 典型的な初期症状は、性器や口内のしこりだ。ただ、痛みを伴わないため気付かない人も多い。数週間で症状がいったん消えた後、しばらくして全身に発疹ができ、放置しておくと内臓や神経に異常が表れることもある。妊婦が感染すると、流産や死産のほか、生まれてきた赤ちゃんが先天性梅毒を患う可能性もある。

 都は「新宿東口検査・相談室」(新宿区、03・6273・8512)や「多摩地域検査・相談室」(立川市、080・2022・3667)などで、匿名で受けられる予約制の無料検査を実施してきた。患者の急増を受け、来月、区立を含む計8か所の保健所で臨時の検査日を設けることを決定。医療従事者向けの研修会も開催する。

 性感染症に詳しい「プライベートケアクリニック東京」(新宿区)の尾上泰彦院長は「今や梅毒は誰でも感染する可能性のある病気。治療薬があるので、不安があればすぐに検査してほしい」と呼びかけた。
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