中国はかつて立憲君主制や西欧のような民主主義制を試みた時代もあったが、最終的に共産党による一党支配体制の道を選んだ、と習は述べている。

「世界各国のどんな体制にも存在するだけの道理があります。以前、オバマ大統領と会談した際に、『もしアメリカに生まれれば、私は共産党には入党したくない。アメリカの共産党には何の地位もないからです。共和党か民主党のどちらかに入党するでしょう』と冗談を言ったことがあります。一方で中国人であるからには、最も政治的に影響力のある共産党に入る他に選択肢はないのです」

 この発言は、今年2月に発売された『安倍晋三回顧録』でも披露された。安倍は、習が政治権力を掌握するために共産党に入った強烈なリアリストだと感じたと述懐している。

 実はこの場面には続きがある。安倍は「となると、習主席が日本に生まれていれば、私たちの自民党に入っていたということでしょうか」と聞いているのだ。すると習は笑みを浮かべて答えた。

「日本には生命力を持った政党が数多くあります。私が日本人なら、その中から最も生命力のある政党に入りますね(笑)」

 この発言を聞いた瞬間、習の側近たちの顔は見る見るうちに青ざめたという――。

https://bunshun.jp/articles/-/62846?device=smartphone&page=2