中野市4人殺害事件 両親が語る容疑者の半生 大学時代に「盗聴されている」…

ぼっち(独りぼっち)―。長野県中野市で男女4人が殺害された事件で、殺人の疑いで逮捕、
送検された農業青木政憲容疑者(31)は、人からこう見られることに過剰な嫌悪を抱いていた
ことが、両親の証言から浮かび上がってきた。

青木容疑者は3人きょうだいの長男として生まれた。幼い頃はひょうきんな性格だった。
小学校では高学年になると穏やかな性格になり、中学校での成績は学年でも上位。

ただ、高校に入ると笑顔が消えて勉強は振るわず、受験を控えた進路面談で教師に
「推薦入学は難しい」と告げられた。1浪し、東海大(東京)の情報通信系の学部に進んだ。
当初は個室に食事付きの神奈川県内の寮で生活したが、他大学の学生もいる環境に
なじめず、東京・目黒のアパートで1人暮らしを始めた。

そして、異変が起きた。家族が青木容疑者の携帯電話にかけても出ない。折り返しの
連絡もない。心配した両親は車で急ぎ上京した。姿を現した青木容疑者には生気が
感じられなかった。「顔面蒼白(そうはく)で目もうつろだった」。

異変はそれだけではなかった。住んでいたアパート1階の部屋に入る際、青木容疑者は
「ここは盗聴されているから気を付けて」と言った。聞くと、盗聴を恐れて携帯電話の
電源も切っており「部屋の隅に監視カメラがある」。

だが、両親にはカメラがあるようには見えなかった。両親は青木容疑者を実家に連れて帰った。
両親は病院の受診を勧めたが、青木容疑者は「俺は正常だ」と拒否した。

「ぼっち」とばかにされている 事件までに少なくとも2回、不満あらわに
昨年夏、青木容疑者が営む中野市内のジェラート店で、仕事を手伝っていた人について
「ぼっちぼっちと俺のことをばかにしていた」と怒りをあらわにしたことがあった。
その人は「そんなこと思っているわけもないし、言ったこともない」と説明した。

さらに昨年、ある男性がジェラート店内の写真を店員の許可を得て撮影していたところ、
青木容疑者が後から店に入ってきたことがあった。男性が愛想よく笑ってあいさつすると、
青木容疑者は「出てけ」と威圧するような態度を取り、周囲が制止した。

父親は「笑顔の人がいると、にやついて見えるのか、ばかにされていると感じて
しまうところがあった」と話す。
https://news.yahoo.co.jp/articles/eb340179838b30e5ffffcf5f79c87653648b1b40