「失敗」を素直に認めた北朝鮮、その理由は? 慶応大・礒崎敦仁教

 北朝鮮は5月31日、予告していた「軍事偵察衛星」の運搬ロケットを発射し、失敗に終わったと発表しました。日本政府は「弾道ミサイルの可能性があるものが発射され、黄海上空で消失したものと推定している」と説明しています。北朝鮮の意図や今後の動きについて、北朝鮮政治が専門の慶応大の礒崎敦仁教授に聞きました。

 ――北朝鮮が、「軍事偵察衛星」の打ち上げを行い、失敗したと発表しました。

 北朝鮮にとって初めての「軍事偵察衛星」の打ち上げは、金正恩(キムジョンウン)総書記の肝いりのイベントです。とはいえ、失敗する可能性も事前に想定していたのでしょう。だからこそ、今回は何度も「1号機」であることを主張していました。つまり、失敗しても、改良して「2号機」、「3号機」へとつなげていくことにより、必ず成功させる。こんな強い意思を感じます。

 ――失敗を認めたことは、最高指導者である金総書記の尊厳を傷つけることにならないでしょうか。

 前例があります。正恩氏は2012年4月に第1書記に選ばれ、最高指導者のポストに就くと、その2日後に「実用衛星」を発射しました。このときも空中爆発して失敗に終わったのですが、約4時間後に失敗を認める発表をしました。

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