香港のファンが支える「蟹王麺」  1968年発売、食感が魅力  NNA | めぐみ
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「蟹王麺」をご存じだろうか。兵庫県たつの市の食品メーカー、イトメンが製造する香港限定の袋入り即席麺。その歴史は香港で即席麺の代名詞となった日清食品の「出前一丁」をも超えるという、当地の市場を切り開いてきたロングセラー商品だ。にもかかわらず、知名度は香港っ子の間でもいまひとつ。独特の立ち位置を守りながら今年55周年を迎える蟹王麺の不思議な魅力を掘り下げる。

蟹王麺に出会ったのは、オフィス近くの食品小売りチェーン店だった。黄色い袋に真っ赤なカニの絵とロゴが印刷されたパッケージ。いかにも香港的かつ時代を感じさせるデザインだが、「日本製」の文字が目を引いた。(写真:NNA撮影)

製造元はイトメンとある。即席麺や乾麺を手がけるメーカーで、全国区ではないものの日本国内では「チャンポンめん」が有名。日清食品の「チキンラーメン」に次いで世界で2番目に即席麺を発売した会社としても知られる。

初めて目にする商品だったが、試しに買って食べてみたところ、つるつるとした麺の舌触りと弾力が絶妙。あっさりスープに付属のごまラー油がいいアクセントになっている。

イトメンの日本のサイトでは「取扱製品」に蟹王麺の記載はなく、パッケージには日本語で「1968年に香港で発売いたしました」とある。香港では有名なのかと思いきや、職場で20代から60代までの同僚に尋ねても「見たことない」「食べたことない」と口をそろえる。

おいしくて歴史があり、でも香港人にはあまり知られていない香港限定品ー。謎めいた存在にがぜん興味が湧いた。