この1年は、性搾取問題に関わってきた人には、これまで味わったことのない厳しいものだったのではないかと思う。AV新法をめぐっては、フェミニストの中でも意見が割れた。「目の前の被害者を救うことを優先させるべき」と新法施行に賛同した人も多かった。性産業で働いていた女性たちが新法に反対する声をあげる場で、「性産業を差別するな」と怒りを露わにするフェミニストもいた。フェミニストと自認していても一枚岩で同じ方向を向いているわけでは決してなく、特に性産業については激しく意見が対立するのがあからさまになった1年でもあった。そして、AV新法の問題点を鋭く強く発信していたColaboの仁藤夢乃さんが、この1年でどのような目にあってきたのかは、多くの人が知るところだろう。

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表

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