公立高校入学者選抜試験(以下、公立高校入試)を受験した生徒数が募集定員に満たなくても不合格となる、いわゆる「定員内不合格」が有識者の間で問題視されている。
定時制や2次募集でも不合格に
昨年、全国の定員内不合格に関する実態調査が初めて実施された。この結果、2022年度の定員内不合格者数は延べ1631人だった(*1)。1人の受験生が同年の普通科だけでなく、定時制や2次募集を受験しても定員内不合格になることがあるため、延べ人数となっている。
れいわ新選組の舩後靖彦参議院議員(65)が、2019年から国会で4回にわたって定員内不合格について質疑で取り上げたところ、昨年、文部科学省(以下、文科省)が公立高校入試における障害のある生徒のための合理的配慮に関するガイドライン(*2)を発出した。さらに、前述の全国の実態調査にもつながった。
その結果、都道府県によって定員内不合格者がいたりいなかったりしているだけでなく、その対応の違いも明らかになった。舩後議員は「居住区によって対応が異なることは、受験生にとって大きな不利益になる」と強く訴える。
どうして、都道府県によって対応が分かれるのか。それが、生徒たちにどんな影響をもたらすのか。今回全国7都府県教育委員会、高校校長、教育関係者、受験生とその保護者などに取材してわかったことを紹介する。
公立高校入試における合格者の決定は、学校教育法の施行規則によりそれぞれの校長が許可することになっている。だが、前述の実態調査により、定員内不合格者については(1)都道府県との申し合わせにより、原則として出さないようにする(2)定員内不合格者が出るときは、教育委員会との協議を要する(3)高校校長の判断に委ねられている、という3種類の対応がある。
(略)
「入学後の単位取得の見込みがない」「高校を卒業できない可能性が高い」と判断されるからだ。高校中退者の問題が取りざたされるため、学校も気になるのだろう。
そのような場合は、前述(2)のように教育委員会が協議をしている。
大阪府立箕面東高等学校の佐藤誠治校長(54)は、試験や面接について、こう考える。
「高校入試では、不登校や非行のあるなしで合否を判断していません。面接で、中学生のときに頑張ってきた経験や、高校での目標について何も話せない生徒もいます。そんなときは、高校に入学して新たな気分でスタートが切れるように、やる気を引き出すような声がけをします」
https://toyokeizai.net/articles/-/674776?page=1