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大山倍達×夢枕獏 対談 前編(1986年)
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夢枕  具体的には、どうやって戦う相手を見つけたんですか?

大山  相手なんか、道を歩けばいくらでもいたよ。 
ケンカしようと思えば、いくらでもケンカできるんだもの、終戦当時は、あちこちに闇市があって、年中ケンカだよ。 
私は、いつも進駐軍を相手にしてました。

夢枕  進駐軍相手に、いきなりケンカするんですか。

大山  そう、いきなり出てって、いきなりひっぱたいた。 相手は拳銃をもっているからね。  
あのころ進駐軍というのは、大変な権力をもっていて、横暴な振るまいをしても、日本人は誰も手を出せなかった。 
真っ昼間に、日比谷公園で若い女性が強姦されたりするんだから。

夢枕  えっ、真っ昼間に?

大山  そう。 私がたまたま通りかかったら、大勢の見ている前で白人と黒人の米兵が、日本のオフィスガールを強姦してるのよ。
「助けて!」と悲鳴をあげてるのに、皆、見て見ぬふりしてるだけ。 誰も助けない! 日本人ほど卑怯な民族はないよ! 私は本当にそう思ったね。
カッとなって私は米兵をのばし、女を助けたんです。 それからヤミつきになって、進駐軍専門にケンカを売り歩くようになり、しまいには、進駐軍2人ペアで行動するようになったんです。

夢枕  つまり、大山先生を恐れて。

大山  そう。 私は『権力にこびるな、金の奴隷になるな、暴力に屈すな』という儒教の教育を受けた人間だからね。 ガマンならなかった。 
しかし殴るだけならよかったけど、あるときやはり昼間の日々やの交差点でね。 
日本の警官が米兵にズボンおろされて、肛門に棍棒を突っこまれていじめられているのを見て逆上し、米兵を殴り倒したあげく、金を巻き上げてしまったんです。
これがいけなかった。 窃盗ですからね。 指名手配され、逃げるために山にこもったんです。 これが山ごもりの真相です。