日蓮宗の十界論って死後の世界じゃなくて現世での生命の状態の話じゃなかった？
「地獄に落ちてみませんか」 VRで死後の世界 横浜の寺で体験会（毎日新聞）
https://news.yahoo.co.jp/articles/7a90dec22f825224fda7d4855fd6fed9e42af2c9
https://cdn.mainichi.jp/vol1/2023/06/01/20230601k0000m040360000p/9.jpg
https://cdn.mainichi.jp/vol1/2023/06/01/20230601mpj00m040180000p/9.jpg
https://cdn.mainichi.jp/vol1/2023/06/01/20230601mpj00m040179000p/9.jpg
https://cdn.mainichi.jp/vol1/2023/06/01/20230601mpj00m040181000p/9.jpg
地獄に落ちて、自身の生活を顧みませんか――。横浜市戸塚区の日蓮宗妙法寺。ここでは、VR（仮想現実）を用いて仏教の死後の世界を巡る「地獄体験会」が開かれ、人気を集めている。VRは、久住謙昭住職（47）らが中心になり、構想から3年をかけて完成。昨年4月から体験会を月1回以上開き、これまでに200人以上が参加してきた。地獄とは一体どのような場所なのか。記者も「地獄落ち」を体験してみた。
【ちょっとかわいい死者の魂 地獄VR】
「仏教の教えをエンターテインメントと融合させながら紹介したいと思い、このVRを作成しました」。久住住職はこう語り、寺の本堂の前方に置かれたモニターを使いながら地獄の解説を始めた。記者が参加したのは取材のための特別な会だったが、通常は15人ほどの定員がいっぱいになるという。
地獄は「八つの層」に分かれており、どの地獄に行くかは現世での殺生や盗み、飲酒など犯した罪の重さによって決まる。例えば、最も罪が軽い人が落ちる「等活地獄」で約1兆6653億1250万年、罪が最も重い「無間地獄」で349京2413兆4400億年もの間、鬼たちから責め苦を受けることになるという。
約10分間のこうした解説の後、白色の三角巾が付いたVRゴーグルを着け、死後の世界への旅が始まる。最初は、三途（さんず）の川を舟で渡る体験だ。目の前に広がる川をゆっくりと進み、首を動かすと、周囲を360度見渡せた。「向こう岸があの世ってやつか」「こうやって魂が次の世界に渡っていくんだな」。一緒に川を渡る「死者」が隣で話す声が、臨場感をかき立てる。
川を渡りきると、画面いっぱいの閻魔（えんま）大王が目の前に現れた。私の前にいた死者が「誤解だ。悪いのは俺じゃないんだ。俺ははめられただけなんだ」と叫んだ。「次はお前だ。お前はどう生きてきたんだ」。閻魔大王が記者にそう語りかけると、突如場面が変わった。
今度は、サンスクリット語で「地蔵菩薩（ぼさつ）」を示唆する「ガルバ」が目の前に現れた。いよいよ地獄が迫ってきた。まず、地獄の前に、同じく死後の世界である「修羅道」「畜生道」「餓鬼道」に案内された。修羅道では、「ぶち殺すぞ」などと死者がののしりながら、剣や弓で戦っていた。「思い通りにならないことが起こると、その原因は全て自分の外にあると思い込み、周囲をも修羅へと導く」。ガルバはその様子を見ながら淡々と解説した。
最後の「地獄道」では、鬼たちが死者たちに、トゲなどで痛みを与える光景が広がる。ガルバは「自分だけが良いというむさぼりの心、嫉妬や妬みやっかみによる怒りの心。人を思いやることなく自分だけは正しいと思う愚かな心。この三つの欲に支配され、（罪を）行い尽くした報いを受けるのが地獄だ」と強調し、その後しばらくして10分ほどの動画は終わった。
寺によると、参加者からは「リアルな体験で、自分の普段の生活を見つめ直す機会になった」などの感想があったという。私には「お前はどう生きてきたんだ」という閻魔大王の言葉が響いた。過去を振り返ると、他人を妬んだり、やっかんだりした経験もある。自身と向き合い、今後のあり方を考えさせられる貴重な体験となった。
久住住職は「日蓮は私たちの心の中に仏も地獄もあると説いた。現代でも『自分は無罪で他人は有罪』の心がある。自分の心の中の地獄を見つめてほしい」と語る。
VRのレンタルや、久住住職の職場などへの出張も可能。一般体験会の申し込みは専用ホームページ（https://jigoku-vr.com）から。問い合わせは、寺院内にある一般社団法人みんなの仏教（045・811・0256）。【園部仁史】
