こんな政治家は日本にはいない…LGBT法案に反対するイタリアの女性首相の支持率がジワジワ上がっているワケ
https://president.jp/articles/-/70258
一児の母でもあるメローニ首相は、人の生死観、倫理観を率直に述べる女性で、敬虔なカトリック信者である。
首相になる前の選挙運動中も、人工妊娠中絶や同性婚、ジェンダー思想やLGBT法案、大量移民受け入れに対して、
はっきりと「NO!」という立場をとってきた。
イタリアはローマ・カトリック教会の総本部のお膝元で、国民の87.8%が自らをカトリックであると見なす。最大教派はキリスト教である。
宗教的戒律を守る敬虔なカトリックの信仰心とイタリアの社会文化的バックグラウンドを鑑みたとき、
左派ポピュリズムから右派保守台頭への変化は大きく、価値対立の現れは顕著であった。
メローニ首相の掲げる国民保守主義は若者にも支持されていると言えるだろう。
彼女の父は左翼共産主義者で無神論者、母は右派寄りの資本主義者であった。
「15歳の時に、家族を捨てた父への復讐心から、父とは真逆の思想のイタリア社会運動(MRI)の青年組織である青年戦線の装甲扉をノックした」と、
自伝となる著書『Io sono Giorgia(私はジョルジャです)』の中で語り、「何でもいいから何かに属していたい、政治活動が唯一の心の拠り所であった」と、
自分の育った家庭環境と波乱万丈な生い立ち、思春期に経験したエピソードを赤裸々に綴っている。
メローニ首相の魅力は、人情味があるところだ。これまで時折、公の場で感情を抑えることができなくなり涙する場面もあった。
メローニ首相が泣くときに共通していることがあると気づく。それは、志半ばにして人の命が不本意に奪われ、
その人の未来が絶たれてしまった現状を目の当たりにしたとき、そして、困難や屈辱や残虐行為、人権が踏みにじられてもなお強く立ち上がり、
回復して戻ってきた人々に感動したときだ。
2022年7月8日、安倍晋三元首相が街頭演説中に銃で撃たれて殺害された。その2カ月後、イタリア・カリアリで、
メローニ首相が選挙演説中のステージにLGBTQ+の過激派活動家が乱入してくるという衝撃的なハプニングがあり、現場は凍りついた。
メローニ首相は、怯むことなく、この活動家とステージ上で質疑応答を1分続けた。
「私はあなたと違う考え方をする権利があります、あなたはそれに反対することができます、そして私たちはお互いの意見を尊重する。それが民主主義です」(メローニ首相)