3回目以降の難民申請を原則認めない入管難民法改正案を巡り、法改正に反対する弁護士グループが3日、記者会見し、
政府が改正の根拠に挙げる「(申請者に)難民がほとんどいない」という発言を国会で行った
柳瀬房子難民審査参与員が申請者と面談したのは「年に九十数名、100人に届かないくらい」と話している音声データを入手したと発表した。
「2005年から16年間で2000人以上と面会」としていた柳瀬氏の国会発言と矛盾する内容で、
グループは、柳瀬氏の発言を引用した政府の立法根拠がさらに揺らぐことになった、としている。(望月衣塑子)

◆「どこの国も都合のいい方だけ来てくださいってしてる」
記者会見には、柳瀬氏と電話で話したとする難民支援者が出席。録音した会話の音声データを公開した。
会話は5月30日夜に行われ、柳瀬氏とみられる人物が「私の場合、毎月2回、1回に2案件対面審査している。
(応援含め)月に6〜8人、年に九十数名、100人に届かないくらいの申請者に会っている」と話す声が録音されていた。
この通りであるとするならば、柳瀬氏が16年間で面会したのは2000人には届かない。

ほかにも
「どこの国だって、都合のいい方だけ来てくださいってしてる。主権国家であれば」
「私の(対面審査)数のことや、いくらもらっているのかというようなことで横道にそれるのは本意じゃない」
「何とか今の法案は通してもらわないと」
「入管庁をプッシュすることはいくらでもする」
などの発言が残されていた。

支援者は会見で「法案を通したいという話をしているのに恐怖を覚えた。あまりにも都合がいいことを言っていると思った」と話した。
難民審査参与員は、出入国在留管理庁(入管庁)が難民ではないとした外国人が不服を申し立てた際に2次審査を行う。
参与員は111人いるが、入管庁は書類審査も含め、柳瀬氏が2021年は20%に当たる1378件、22年は25%に当たる1231件の審査を担当していたことを公表している。

斎藤健法相は2日の記者会見で「出せる数値は全部出している」と強調したが、入管庁は柳瀬氏の05年7月から21年4月までの処理件数については明かしていなかった。
入管庁審判課は「最大10年程度の参与員のデータはあるが、指示が出ないと集計を出せない。今後、状況は変わるかもしれない」と話している。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/254503