「ポリコレ」の嵐を防ぐのは 論説委員・川瀬弘至

最近、「ポリコレ」なる言葉をよく耳にする。正しくは「ポリティカル・コレクトネス(政治的正しさ)」。
人種や性別、宗教などで差別や偏見を抱かせない、より中立的な用語や表現を使うことだそうで、考え方自体は昔からあった。
看護婦を看護師、保母を保育士と呼ぶようになったのがその一例である。

ただ、ポリコレという言葉が広まったのは2~3年前からだろう。差別的な表現の是正というより、LGBT問題などで過度な規制を
かけることに対する批判的な文脈の中で使われることが多いようである。

恥ずかしながら筆者は横文字とカタカナ語が苦手である。LGBTまでは何とかついていけるが、そこにQ(クエスチョニング)とか
I(インターセックス)が加わるともうお手上げだ(意味はお調べいただきたい)。沖縄問題担当の筆者には専門外だし、下手に論じれば
炎上しかねないので、これまでポリコレとは距離をおいていた。

だが近頃、そうも言っていられなくなってきた。

<中略>

おばちゃん強し

暴走するポリコレにどう対処すべきか。つらつら考えていたら、「大阪のおばちゃん」が頭に浮かんだ。

何でも値切る、ヒョウ柄が好き、アメ玉も大好き、福袋は買う前に中をのぞく、街で配られるティッシュを何個ももらう…等々の
イメージ(むろん誇張されている)がテレビのバラエティー番組などですっかり定着してしまった、関西在住の中高年女性の〝愛称〟である。

でもこれ、ポリコレ的にはアウトの用語じゃない? 性別も年齢も地域性も、全部引っかかってるんだけど…。

だが、いかにゴリゴリのポリコレ派でも大阪のおばちゃんを〝差別用語〟にはできそうもない。本人たちに「アホか」と言われるだけだろう。

ポリコレの嵐を防ぐのは、大阪のおばちゃんかもしれない。

https://www.sankei.com/article/20230521-6COMX4B2TVPYFNDCYJCENHZAK4/