政府が月内に閣議決定する経済財政運営の指針「骨太の方針」の安全保障関連の原案が2日判明した。北朝鮮の弾道ミサイル発射や台湾有事を念頭に「さまざまな種類の避難施設」を確保すると明記し、南西諸島を中心にシェルター整備を進める方針を盛り込んだ。サイバー攻撃などへの対応能力を「欧米主要国並みに向上させる」とし、攻撃を仕掛けてくる側のサーバーを未然に無害化する「能動的サイバー防御」の実施体制も整備するとした。

 シェルター整備に関し、「南西地域を含む住民の迅速な避難を実現すべく、さまざまな種類の避難施設の確保等」を地方自治体と協力して進めるとした。

 北朝鮮は弾道ミサイルの発射を繰り返し、4月の発射では初めて日本領域内に落下する恐れが全国瞬時警報システム(Jアラート)を通じて伝えられた。中国も2022年8月、台湾周辺での軍事演習中に弾道ミサイル5発を沖縄県・先島諸島周辺の排他的経済水域(EEZ)に落下させた。

 日本核シェルター協会が14年に公表した02年当時の調査によると、日本の核シェルターの普及率(国内の核シェルターで収容できる国民の比率)は0・02%。特に南西地域の先島諸島5市町村には、安全性が比較的高い地下施設が石垣市役所の1カ所しかなく、シェルター整備などの「住民を守るための取り組み」が急務だと判断した。

 原案は他に、人工知能(AI)の発達などで見抜くのが難しくなっている「偽情報」対策を強化すると明記。対外発信能力も高めるとした。参院で審議中の防衛生産基盤強化法案の成立を見越して「持続可能な防衛産業の構築」や「防衛装備移転の推進」を図りつつ、「画期的な装備品等を他国に先駆けて実現する研究開発」に取り組むとした。

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