北朝鮮による拉致被害者の生存と救出を願う「ブルーリボンバッジ」。裁判官が法廷内での着用を禁じたのは憲法が保証する表現の自由に反するとして、男性3人が国に損害賠償を求めた裁判で、大阪地裁は31日、訴えを退けました。

 訴えを起こしたのは、不動産会社「フジ住宅」の今井光郎会長(77)とその支援者2人です。

 今井会長は8年前、中国や韓国出身の人たちを侮辱する雑誌やネットの記事を従業員に繰り返し配布するなどしたとして、勤務していた在日韓国人の50代の女性から損害賠償を求める裁判を起こされました。

 その訴訟の中で、今井会長の支援者の2人が裁判を傍聴しようとした際、裁判長からブルーリボンを外すよう指示されました。また翌年には、今井会長に対する本人尋問の際にもブルーリボンを外すよう指示があったということです。

 3人は抗議したものの、ブルーリボンを外さなければ傍聴も開廷もできないと言われやむなく外したということで、同様の対応は判決の言い渡しまで続きました。

 争点となったのは「法廷警察権」と呼ばれる、法廷内の秩序を守るため裁判官に認められた強制力の行使についてです。

 一般的には、法廷内で暴れたり自身の主張を叫んだりする人へ退廷を命じることなどができます。

 今井会長ら3人は「ブルーリボンの着用は、争点とは関係なく混乱は生じない。特定の裁判のみ着用を禁じるのは表現の自由を侵害する不当な差別」などと主張し、3年前に390万円の損害賠償を求めて裁判を起こしました。

 国側は、「当事者間の争いに発展する可能性があったため、権限の使用は適切だった」などとして、訴えを退けるよう求めています。

 この裁判をめぐっては、去年9月、原告側がブルーリボンの着用を禁止した裁判官の証人尋問を求めていましたが、大阪地裁は「判決を書く上で必要性がない」として退けられていました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/115990fb14411ab45f422f5a30061f4f6d4408cb