大詰めを迎えた入管難民法改正案の国会審議を在留資格のない人を配偶者に持つ日本人の妻らも固唾かたずをのんで見守っている。日本人と結婚していても在留資格が与えられない例が増える中、立憲民主党などの対案は法文で「在留資格の対象になり得る」とするが、政府案に明確な救済策はない。政府案成立により夫婦が離れ離れになるケースも予測される。(池尾伸一)

マユミさんの夫マモさん(32)は、トルコの少数民族クルド人だ。学校でクルド語を話して殴られるなど迫害を受け2008年に日本に逃れた。マユミさんとは15年に結婚した。これまでに3回難民申請したが不認定。政府案では「申請3回目以降」は強制送還対象になるため、2人は「夫婦分断」か「一緒に日本を去るか」の厳しい選択を迫られる可能性がある。
 「成立後のことは考えたくもない」。マユミさんは涙する。
 難民認定しないが人道上、在留を認める「在留特別許可」の制度もある。出入国在留管理庁(入管庁)が09年に作成したガイドラインは日本人配偶者や子どもがいる場合、「積極要素とする」と定める。しかし結婚8年でもマモさんは許可されない。入管庁の面接で、ある職員はマモさんに「なぜ子どもをつくらないのか」と聞いた。「欲しくても願いがかなわないことをいわれ、傷ついた」。マユミさんはいう。




https://www.tokyo-np.co.jp/article/254674