夜になって皆がテントで寝静まると、異変が起きた。羽毛の詰まった寝袋が暑すぎることから、クレッチマーさんはファスナーを開けたまま寝ていたという。
「すると首筋に息を感じ、誰かに愛撫あいぶされるのを感じました。
私はただ固まって、何事もなかったかのようなふりをしました。もしかしたら過ぎ去ってくれるかもしれないと願ったんです」
このような行為は4~6カ月ほど続いた、とクレッチマーさんは振り返る。
心に負った傷は大人になっても晴れることなく、何年もカウンセリングを受け、抗うつ剤に頼る日々が続いたという。「4回結婚し、離婚しました」ともクレッチマーさんは告白している。
ほかのスカウトたちの面前で、公然と行われる行為もあるようだ。
タイム誌は別の事例として、ボランティアで参加した人物が性的虐待を目撃したケースを報じている。
この隊のリーダーは、中学生ほどの年齢のスカウトたちと共に、森の中でキャンプファイヤーを囲んでいた。
するとリーダーは突然、立ち上がって互いにズボンを下ろすよう促したという。「パンツパーティー」と呼ばれるこの指令は、遠出の際に頻繁に起きていた
同件を報じるタイム誌によると、被害少年は当時12歳だった。当時の隊長だった被告は、方位磁針の使い方やキャンプでの火の起こし方を教えたのと同じ要領で、
セックスについて教えると持ちかけたという。そして、自宅に招き、ベッドに横たわるよう促した。
被告は「セックスについて学べる、よくある方法だよ」と説き伏せたが、「だけど僕がやっていることを、親には言うなよ」とも釘を刺したという。
ひととおり猥褻な話を済ませると、自身のズボンを下ろして自慰行為にふけり、終わると部屋を出て行った。
被害者の少年は4年後の16歳になるまで、両親にさえ被害を打ち明けられなかったという。
「ただただ家に帰りたかったです」と当時の恐怖を語る。
https://president.jp/articles/-/70042?page=3