
先月29日、熊本市内の雑居ビルで布にくるまれた女性の遺体が見つかりましたが、遺体は一般の人や住人が立ち入れない7階で見つかるなど、多くの解明すべき点が残されていました。
こうした中、このビルのエレベーターの管理会社の男性従業員が死亡していたことが分かりました。
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現場に手向けられた数え切れないほどの花。謎に包まれた事件は思わぬ展開を迎えました。
事件は8日前、熊本市の繁華街にあるビルで起きました。
現場ビルの住人「女性の悲鳴『きゃー』とか『ぎゃー』」
辰島ありささん(29)の遺体が見つかったのです。辰島さんは当時、全身に布が巻かれた状態で、ビルの7階で発見されたとみられています。事件を聞いた住民たちには、ある謎が浮上。
現場ビルの住人「聞いた時には『おかしいな』と思った、直感的に。なんで7階なん?」
現場のビルは8階建てで、1・2階は店舗、3階から6階は住居、そして7・8階は現在空いていて、以前はカラオケ店だったといいます。
住人によると、ビル内にあるエレベーターは2台あるということです。
現場ビルの住人「片方は住人が1階から6階まで行けるエレベーターがあって、隣にカラオケ店専用の直接7・8階まで上がれるエレベーターがあります」
住人用のエレベーターでいけるのは6階までだということです。もう1台は1階から7・8階までの直通エレベーターですが、現在は停止中で動かすことはできなかったといいます。非常階段でも7階まで上がることはできますが、扉には鍵がかかっていたといいます。
つまり7階は、一般の人も住人も、簡単には立ち入ることのできない場所だったのです。辰島さんはなぜ7階に…。警察は、ビルの内情を知る人物による犯行の可能性もあるとみて捜査し、のべ700人の捜査員を動員して犯人の特定を進めてきました。
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そして6日、捜査関係者への取材で明らかとなったのが、事件後にこのビルのエレベーターを管理する会社の男性従業員が、死亡しているのが確認されたということです。
エレベーターの点検などを行う会社の従業員だったという男性。今回の事件との関連はまだ分かっていませんが、事件発生前後の深夜、ビルの住人は、エレベーターの作業員のような人物に話しかけられたといいます。
現場のビルの住人「エレベーター関係の人じゃないですかね」
――複数人?
現場のビルの住人「ひとり」「向こうから聞いてきた。なんか『音がしなかった?』と、そういう感じで」
――何の音?
現場のビルの住人「エレベーターの音です。『ゴトゴトしなかったか』と。『いや聞いてないです』という感じで(答えた)」
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6日、このビルをめぐっては、エレベーターを管理する会社の男性従業員が事件後に死亡が確認されていたことが判明。警察は自殺の可能性もあるとみています。
事件との関連について、専門家に聞きました。
元神奈川県警捜査一課長 鳴海達之さん「1つ、捜査を進める中では重要なポイントになってくると思います。遺体も7階で見つかっていますから、それなりの関連性がないわけではないですから。ただ(容疑者と)決まったわけではありませんので、1つのものに絞って失敗することもあるので、何通りかの捜査項目があって進めていく」
警察は、現時点で容疑者の特定には至っていないとして、引き続き、防犯カメラなどの捜査を進める方針です。