あなたが明日からホームレスになったとしたら――? 都内ホームレス生活体験記
https://news.yahoo.co.jp/articles/5d05517043c8dc1cdd4b4b22434bc99ed1b2fe83
"カレー弁当2個・ミニトマト・バナナ・桃2個・漬物弁当・カレーうどん・カレーライス"......これは都内のホームレスが1日に(もらおうと思えば)もらえる炊き出しの食品リストだ。
主食のお弁当類だけでいえば、1日5食は確保できるという事実に驚愕する人も多いのでは?
今回ご紹介するのは『ルポ路上生活』(KADOKAWA)。同書はフリーライターの國友公司氏が「ホームレスは一体どんな生活をしているのか?」という疑問を発端に作られた取材ルポでもある。
國友氏自身が実際にホームレスとなり、東京都西部(都庁下・新宿西口地下)と東部(上野公園・隅田川高架下)、それに荒川の河川敷で2カ月間を過ごす日々が綴られている。
「都内のホームレスは飯に困ることはまずない。むしろ、飯を取捨選択する余裕すらある」(同書より)
國友氏が実際にホームレスとなって知り得たことは炊き出しの多さだけではない。新宿区役所ではシャワーと洗濯が1日おきに週3回利用できるし、冬は寝袋や毛布・防寒着がNPOによって支給される。
さらに"炊き出し場所に1カ月皆勤すると1000円・2カ月皆勤で2000円"、"新興宗教の研修を受けるだけで1500円"といったように現金がもらえるシステムまであるのだ。
ここまでくると真面目に生活しているのがバカバカしくなるが、もちろん「定額収入がない」ことや「家がない」といったデメリットは常について回る。"小屋"や"テント"をベースにしている人もいるがそれはごく一部だ。
ホームレスたちは生活保護を申請することも可能だが、路上からの申請の場合はひとまず生活困窮者を対象とした無料低額宿泊所に一定期間入り、そこからアパートを探すという手順になる。
しかしこの無料低額宿泊所には、入居者を囲い込んで生活保護費を詐取するという"貧困ビジネス"も横行しているという。そのため再びホームレス生活に舞い戻る人も少なくない。國友氏は言う。
「ホームレスの幸福度というのは収入によって決まらない。本人の気の持ちようによって決まるのだ。
『もうこれでいい』と現状を受け入れてしまうと、途端に生活にゆとりができる。(中略)彼らが路上で暮らし続ける理由が分かってきたように思う」(同書より)
生活保護を受けたり、缶拾いなどの仕事をすればある程度の収入を得ることは可能だ。食べ物や衣服は配給されるので自分の好きなことだけにお金を使えることになる(ギャンブルですってしまう人が多いようだが)。