マイナンバー普及は見切り発車 制度不備で不信拡大

公的給付金の受取口座の誤登録など、マイナンバーを巡る問題が噴出し、制度に対する国民の信頼は大きく傷つけられた。
河野太郎デジタル相は、金融機関の口座の名義を自動的に照合できないマイナンバーのシステムの不備を原因に挙げた。
一方、「デジタル化に背を向けることはできなかった」と述べ、制度不備のままカード普及を急いだ〝見切り発車〟を認めた。

「諸外国がデジタル化を進める中、日本が歩みを止めることはできない」

河野氏は7日の会見で、マイナンバーのシステムでは漢字の氏名だけが名義として登録されている一方で、
公金受取口座ではカタカナのみが名義登録されているため、名義の照合が自動的にできないというシステム上の未整備があったまま運用を開始したことを弁明した。

今後は、6月2日に成立したマイナンバー改正関連法で令和7年中にマイナンバーにふりがなを登録できるようになるため、
その後はマイナンバーと公金受取口座の名義の照合がシステム上可能になる見通しだ。

ただ、それまでの間はシステム上は別人名義の口座を登録することも可能な状態のままで、トラブルがさらに相次ぐ可能性もある。

行政システムに詳しい専門家は、マイナンバーのシステムについて
「公的給付金は決して別人に支払われてはならないもので、本来は確認や検証をもっとしっかり行って、問題がないとはっきりするまでは提供されてはいけないもののはずだ」と指摘する。

河野氏は、利便性が勝るとして、問題が相次ぐマイナンバーのシステムを改善していく姿勢を強調した。
だが、今回のトラブルは、担当省庁が数カ月前に把握しながら公表しないケースもあった。信頼回復の道は険しい。(大坪玲央)

https://news.yahoo.co.jp/articles/71c7f1a02ce88b06371a5dfe886b74b8651f2e36