「中国共産党のスパイだ」「千葉に中国はいらない」。
今月11日の補選告示後、英利さんのツイッターのコメント欄には、虚偽情報や読むに堪えないヘイトスピーチが書き込まれた。

両親が中国の新疆ウイグル自治区出身ということに関連付けた執拗しつようなな攻撃は、昨年の参院選出馬時から、複数のアカウントにより繰り返されてきた。
身体的な危害をほのめかすような内容や、事務所に直接電話してくるケースもあった。

父親はウイグル系、母親はウズベク系。父親が北九州市の大学に留学後、地元メーカーに就職し、英利さんは同市で生まれ育った。
その後家族で日本国籍を取得。10歳頃から高校卒業まで、父親の転勤に伴い中国・上海や広州で過ごした。

英利さんは自分を日本人と思ったことしかない。米国の大学で学び、日本銀行や国連で勤務してから政治の世界に。
政治家が一定の年代の男性ばかりに偏っている現状に違和感を覚え、「多様な人らの声を代表したい」と思ったからだ。

しかし、待っていたのはヘイトスピーチ。「改めて、自分のようなマイノリティーの属性を持つ人たちが経験している生きづらさを、選挙を通じて体験した」と振り返り、
「一度流れた誤情報を訂正するのは容易ではない。言論の自由を守りながら、法整備も含めてどのような対応ができるのか考えていく」と語った。




横浜市議選神奈川区選挙区(今月9日投開票)に国民民主党公認で出馬し、落選した見矢木みやぎ素延すえんさん(45)も、中国出身であることを理由に嫌がらせを受けた。
告示前に街頭で活動中、別の立候補予定者が近くに来て「国民民主党が中国人を立候補させようとしている。横浜が乗っ取られる」と演説。
無視していたが、見かねたボランティアスタッフが「ヘイトはやめてほしい」と告げると、その候補は「演説の妨害だ」などと言い返してきたという。

選挙期間中は警察に相談して接触を避けたが、最終日に遭遇。その候補は何の断りもなくカメラを向けてきた。選挙後も見矢木さんを一方的に批判する動画をネットに掲載している。
見矢木さんは中国・吉林省の少数民族出身。2002年に来日し、16年に日本国籍を取得した。「中国でよそ者扱いされ、横浜では温かく受け入れてもらった。
恩返ししたいと出馬したのに、事実無根の嫌がらせをされ、怖かった」と話す。
「日本最大の中華街がある横浜で、公共の場でマイクを握ってヘイトするのを許してはいけない」と法的規制の必要性を訴える。

「横浜市もヘイト禁止条例をつくらないといけない」と同党神奈川県連の小粥康弘代表(横浜市議)。
ただ、「そういう動きを進めると、ヘイトがさらに加速して泥沼化しかねない」と対応の難しさを漏らした。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/246442