数々の人気連載を生み出し、一時は『週刊少年ジャンプ』本誌を超える面白さとも言われていた漫画アプリ『ジャンプ+』。ところがメディアミックスの企画が次々進んだことによって、《実は過大評価だった》という説が浮上してしまったようだ。

「ジャンプ+」のユーザー数は年々増加しており、昨年3月の時点で1日あたりのアクティブユーザー数は200万、月間アクティブユーザー数は900万を記録していた。メディアミックスにも積極的で、『SPY×FAMILY』の大ヒット以来、次々と話題作がアニメ化されている。

しかしアニメ化された作品は、必ずしも前評判通りの成功を収めていない。今期放送されている『地獄楽』は、かつて「ジャンプ+」の人気ナンバーワン漫画と紹介されていたこともある作品だが、そのわりに話題性はイマヒトツだ。

制作会社は『呪術廻戦』のMAPPAで、アニメのクオリティは十分すぎるほど。しかもOP主題歌にmillennium parade × 椎名林檎という豪華アーティストを起用しているにもかかわらず、「SPY×FAMILY」級のヒット作にはなっていない。

また昨年には、累計閲覧数1億6,000万回以上を誇るサスペンス漫画『サマータイムレンダ』や、人気ラブコメディ『阿波連さんははかれない』などもアニメ化。いずれもファンたちには好評だったが、広く世間に訴求するブームにはならなかった。

さらに言えば、『チェンソーマン』のアニメ化も象徴的だ。同作は「ジャンプ」本誌の連載だが、続編は「ジャンプ+」に掲載されており、作者の藤本タツキも経歴的には“ジャンプ+作家”として括られる。しかし他の作品と同様、期待されていたほどの爆発的なヒットにはつながっていない。

今期話題を呼んでいるアニメ『【推しの子】』の原作は、『ヤングジャンプ』の連載作品だが、1周遅れで「ジャンプ+」でも連載が行われている。広義の「ジャンプ+」作品として見ると、例外的な大ヒット作品と言えるだろう。

だが、同作は5月17日に放送された第6話「エゴサーチ」をきっかけに大炎上中。ヒロインがネットの誹謗中傷に追い込まれていくストーリーだったが、2020年に起きたテラスハウス事件を髣髴とさせることが問題視された。

故・木村花さんの母親からは、「実際にあった話」をそのまま使うことは配慮に欠けると批判されている。

「『ジャンプ+』はWeb媒体ということもあり、SNSなどの話題性を強く意識したストーリー展開になりがちです。『推しの子』の人気が爆発したのも、そうした戦略が実を結んだ結果でしょう。

ですが、ブレーキが欠如した“バズり重視”の展開は時にリスクをはらむもの。テラスハウス事件にまつわる炎上は、まさに負の側面が出た結果かもしれません」(アニメ誌ライター)

原作のストーリーのみならず、「ジャンプ+」作品のアニメ化は、ネット上の話題性を強く意識することが多いという。

「『チェンソーマン』のアニメ化では、OPに紅白歌手の米津玄師を起用。EDにもVaundyやanoといった有名アーティストを多数起用し、実際にTikTokなどで人気が爆発しました。いかにも『ジャンプ+』編集部らしい戦略ですが、肝心の本編が不評だったため、国民的アニメにはなれませんでした」(同)

今後「ジャンプ+」では、リーサルウェポンとも言われた『怪獣8号』のアニメ化も控えている。『SPY×FAMILY』並みのヒットを飛ばせるだろうか。

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