15年前、バラク・オバマ元大統領を勝利に導いたのは、当時の若い有権者たち（ミレニアル世代）だったと言われている。オバマの勝利によって、アメリカでは長く待ち望まれていた民主党優位の「新たな時代の到来」が期待された。
ところが、過去10年間で「50歳未満の有権者のほぼすべての集団が右傾化した」、「ミレニアルズも例外ではない」と、米紙「ニューヨーク・タイムズ」が報じている。かつて若かったミレニアルズの有権者も、現在は40歳前後になっている。そして、歳を重ねた彼らは「以前ほど民主党を支持していない」という。
バラク・オバマが勝利した2008年当時、彼らは18〜29歳だった。12年後の2020年の選挙で、彼らは同じ民主党のジョー・バイデンをどのくらい支持したのか？
同紙はこれについて、「この世代の民主党の支持率は、2008年と比べるとおよそ半分だった」と指摘する。
一般的に「人は歳を重ねるにつれて保守的になる」傾向があるため、ミレニアルズの右傾化も、そういうものだという見方もできる。だが、この世代に関しては「例外だ」との見解が、以前からたびたび報じられてきた。
たとえば、そのひとつが英紙「フィナンシャル・タイムズ」の報道である。
「25歳でリベラルでないなら、あなたには心がない。 35歳で保守派でなければ、頭が足りない」とは、元英国首相のウィンストン・チャーチルの言葉だが、同紙は各世代の35歳時点での保守化のレベルを比較し、こう述べている。
ミレニアル世代（1981〜1996年生まれ）は、サイレント世代（1928〜1945年生まれ）やX世代（1965〜1980年生まれ）と比較して、「35歳の時点で、有史以来、群を抜いて最も保守化していない」と。
保守化の度合いが低い理由については、「ミレニアル世代は、前の世代とは異なる価値観を自分たちの世代特有の経験によって形成しており、保守派がその価値観を持っていないから」。特に、ミレニアル世代は世界金融危機の余波を受けて成長したこともあり、前の世代よりも「経済面でより左寄り」、つまり「富裕層から貧困層へのより大きな再分配を支持している」と指摘していた。
住宅の所有率しかり、前の世代よりも経済的に困窮する者が多いミレニアル世代を、前例どおりに「歳とともに保守化」させるには、なんらかの経済的な支援が打ち出されない限り難しいとの見解を述べている。
ところが、そんなミレニアル世代も「右傾化していた」というのが、ニューヨーク・タイムズの記事の趣旨であるが、ただし、右傾化が顕著なのは、ミレニアル世代のなかでも現在40歳前後の年長グループだと書く。
つまり、現在30歳前後の年少のミレニアルズについては、年長グループと同じレベルで右傾化しているわけではないようだ。
共和党のドナルド・トランプが当選した2016年当時、年長のミレニアルズの右傾化はすでに始まっていたが、年少の有権者たちが、ミレニアル世代全体の右傾化を薄めたという見解もある。そして、この年少のミレニアルズの右傾化は「より緩やかだ」という。
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