「ぶつかり男」の被害に遭って 男性にも必要な「ケアの精神」

記者コラム 「多事奏論」 大阪編集局記者・河合真美江

 この2カ月余り、ゆっくりゆっくり歩いている。右ひざのお皿の部分を骨折した。

 3月末、会社から帰ろうと大阪梅田駅へ向かっていた。人が行きかう夕方の繁華街、突き進んできた男性とぶつかった。よける間もなかった。えっ?!と思った瞬間、体が吹っ飛んでいた。

 ひざをついて倒れ、立ち上がれない。

 「どうしました?」「大丈夫ですか」

 通りかかった人たちがのぞきこんで声をかけてくれた。「男の人とぶつかったんです。黒い服の黒いマスクの……」

 でも、その姿はもうなかった。

 足をひきずって整形外科に行き、けががわかった。もとのように歩けるまで3カ月はかかりそうだという。なんて鈍くさいんだろう。とはいえ、人が倒れたのに知らんぷりで立ち去るとは。事の顚末(てんまつ)を友人にグチると、言われた。

 「それはぶつかり男でしょ」

 街中でわざと人にぶつかる…この記事は有料記事です。残り1097文字
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