日本大松戸歯学部(千葉県松戸市)の関係者から「卒業試験に合格できず、6年生の半分近くが留年になった」と、東京新聞の双方向報道「ニュースあなた発」に情報が寄せられた。卒業試験に受からなければ、歯科医師の国家試験を受験できない。大量留年のワケを探ると、歯学部の抱える悩ましい事情が見えてきた。(東京新聞・鈴木みのり、中沢誠)

 日大松戸によると、2023年春卒業予定だった6年生122人のうち、留年は56人に上ったという。29人だった昨春の倍近く。過去8年間でも留年が50人を超えたことはない。


前年の国家試験で合格率急落

 「学部の生き残りのためだ」。大学関係者によると、大量留年について大学側は、こう説明したという。

 この関係者は「国家試験の合格率を上げようと卒業判定を厳しくしたからでは」と勘繰る。というのも22年春の国家試験で、日大松戸の新卒合格率が、全国の歯学部の中で下から2番目の55・6%に急落していたからだ。

 「学生は1%でも合格率の高い大学に入りたいし、各大学も進学説明会で強調するのは合格率」(大学関係者)と言うほど、歯学部にとって国家試験の新卒合格率は大学の評価に直結する。

 22年春の合格率55%に、日大松戸の谷龍樹事務局長も「入学志願者が減らないか危惧していた」と明かす。

 結果的に、6年生の半分近くが受験できなかった23年春の新卒合格率は74・2%にまで回復した。

 大学側は「合格率を上げるために卒業判定の基準を変えたことはない」と反論。留年の増加は、「特別再試験」という卒業試験の追試を実施しなかった影響だと推測している。

 追試に受かっても国家試験は受験できないが、卒業は認められる。22年春は追試で15人が留年を免れていた。追試を取りやめたのは、新型コロナによる学業への影響が薄れたことや留年を免れた学生が国家試験に合格しづらいからだという。

 留年する学生にすれば、経済的負担はつらい。ある学生は「追試を受けて卒業し、予備校に通った方が学費は安く済むのに」とこぼす。日大松戸の学費は年間400万円を超える。日大松戸によると、今回留年となった学生の中には、学費が払えず退学し...

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