日経平均、終値3万3000円台 トヨタ株急騰で変わる潮目
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13日の東京株式市場で日経平均株価は大幅に3日続伸し、前日比584円65銭(1.80%)高の3万3018円65銭で引けた。

バブル崩壊後の高値を更新し、33年ぶりの高値となった。

この日の相場で市場の注目を集めたのがトヨタ自動車株だ。

一時上昇率が5.5%を超え、PBR(株価純資産倍率)が1倍を上回った。

日本を代表する株式銘柄のPBR1倍乗せは、日本株の潮目が「割安だから買う」から「成長性があるので買う」に変化したことを示唆する。

13日に業種別で上昇が目立ったのは「車」だ。4月以降の日本株高に対して出遅れていたが、6月に入り物色が広がっている。


2027年にも電池寿命の長い「全固体電池」を搭載した電気自動車(EV)を投入するとの報道が、13日のトヨタ株の買い材料だ。株価は一時前日比114円(5.5%)高の2183まで上昇し、22年8月17日以来およそ10カ月ぶりの高値をつけた。

1株あたり純資産は2089円で、PBR1倍を上回る。EVなどを巡り市場の期待面でも米テスラなどに先行を許していたが、トヨタの自動車の総合力を背景にした見直し買いが集まっている。

「今後、PBR水準の上方修正が起きる」。13日のトヨタの上昇を受け、東海東京調査センターの長田清英チーフストラテジストはこう話す。

自動車業界では「EVなどの次世代自動車でどれだけプレミアムが乗るかが市場の評価につながっていた」(長田氏)。

東京証券取引所によるPBR1倍割れ企業に対する是正要請が市場のテーマになるなか、終値で3万3000円に乗せた日経平均にも追い風だ。

実際に、物色のすそ野はEV向けの半導体や燃料電池を手がける関連企業にも広がっている。

EV向け半導体が主力のルネサスエレクトロニクス、ホンダとリチウムイオン電池で協業するジーエス・ユアサコーポレーションはいずれも一時5%超高と、ともに13日に年初来高値をつけた。

大和証券の阿部健児チーフストラテジストは「日本企業の本業における成長性期待も出たことで、海外勢による日本株物色がさらに広がる可能性がある」と指摘する。

4月以降、PBR1倍割れに対して自社株買いなどで対応する企業は多く、市場関係者からは「短期の資本施策ではなく持続的な成長ストーリーを示してほしい」(外資系運用会社)との声も目立っている。

今回のトヨタのPBR1倍超えを機に、日本株高は株主還元だけでなく事業成長性の側面からもう一段加速する可能性がある。