https://news.yahoo.co.jp/articles/020405c74484e3554f6dc471fb3a6270435c35da
松室政哉、ツアー集大成となるバンド編成ワンマンで対バンライブ『LABORATORY』開催を発表
■「みんながいるから音楽を続けられています」
松室政哉が1月からスタートした『Matsumuro Seiya Tour 2023 “愛だけは間違いないからね”』の集大成とも言える、1公演のみのバンド編成ワンマンライブ『Matsumuro Seiya Live 2023 “愛だけは間違いないからね” 〜Joyful! Joyful!〜』が、3月17日に渋谷WWWにて開催された。本稿ではそのオフィシャルレポートを掲載する
“愛の多様性”をテーマに掲げた本公演は、マスク着用での声出しOKを事前にアナウンス。会場からは数年ぶりに松室と一緒に歌えることを心待ちにしているファンの様子がすでにうかがえる。
開演時間を迎え、SEとともにスクリーンに映し出されたのは、群れをなして飛び立つ鳥、行き交う人々、そして爆撃など…シルエットのみで構成されたその映像は、まるでこの数年間の間に世界中で起きた様々な出来事を想起させるようだ。そんな映像の中、サポートメンバーの外園一馬(Gu)、坂本暁良(Dr)、半田彬倫(Key)、佐藤慎之介(Ba)がステージへ。最後に松室が現れると、会場は大きな拍手に包まれた。
ライブはインディーズ時代に発表した人気曲「モノローグ」でスタート。続けて「午前0時のヴィーナス」「今夜もHi-Fi」と、これまでならライブ終盤で演奏されてきた楽曲が冒頭から立て続けに披露され、この時点で今日のライブが今までとはまったく違うものになると予感させる。観客もその雰囲気を感じ取ったのか、思い思いに身体を揺らし始める。
この日のセットリストはさまざまな愛でセクション分けされているように感じ取れた。ライブ序盤では手の届かなくなる存在へ、憧れの眼差しを含めた“愛”を。君の存在や過ごしてきた日々が“僕が強く在れる理由なんだ”と歌う「サラバ記念日」では、会場にいるひとりひとりが大切な人を思い出した瞬間に思えた。
「今日はアルバム以外の曲もやろうと思います。ちょっと盛り沢山だけど、胸焼け覚悟で(笑)」と、MCで会場の笑いを誘いつつ、ライブは次のセクションへ。
ここでは想いを寄せる人へ向けた“愛”を歌う。外園の艶っぽいギターが効いた「きっと愛は不公平」、サビのリフレインが印象的な「ai」に続き、松室の荒々しいストロークで始まった「Jungle Pop」では会場の空気が一変。これまで幾度となくステージを共にしてきたメンバーとの阿吽の呼吸とグルーヴィーな演奏が、聴衆のクラップと歓声を煽る。
中盤最後に演奏されたのはデビュー曲「毎秒、君に恋してる」。まるでデビューから今日まで出会ってきた一人ひとりを振り返るかのように“毎秒 君が刻まれてゆく”と歌う松室の、その柔らかい表情がとても印象的だった。
「みんながいるから音楽を続けられています」と感謝を伝え披露された「夢煩い」。静寂に響く半田の儚いピアノから始まり、次第に熱量を増していく「ゆけ。」。この最後のセクションは、自分自身への“愛”、人生を支えてくれている人への“愛”なのだろうか。
ライブも終盤。ここまでありったけの愛を歌ってきたのにまだまだ“愛が足りない”と歌う「出逢いなおし」では“松室バンド”のソロ回しが披露され、会場は更にヒートアップ。「AS ONE」で松室が会場を煽るように拳を突き上げると、それに応えるように会場も手を掲げ、声を上げる。“この世界はキャンバス”と歌われる同曲だが、今この瞬間、会場にいる各々のキャンバスが彩られていくのを感じる。
続けて披露されたのは松室のアザーサイドとも言えるロックチューン「神様のいない街」。松室のアコースティックギターと外園のエレキギターの掛け合いがステージ上に火を付け、呼応するように坂本のドラムと佐藤のベースがうねり、半田のキーボードが楽曲を加速させる。間髪入れずハンドマイクになった松室が「大人の階段 駆けおりない?」「dopamine」で観客のボルテージを上げると、会場はさながらダンスフロアに。“ポップスに選ばれた男”の異名を持つ松室だが、この楽曲の振り幅…まさに言い得て妙である。
本編最後に据えられたのはアルバム表題曲「愛だけは間違いないからね」。“誰も否定されないということが素敵だと思う”“自分が信じるものを自分が愛するものを大切に生きていけるように”そんな思いを込めたと言う楽曲のイントロが流れると、自然と会場からも手拍子が起こる。
「最後に皆さんの声を聞かせてください!」