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ビットコイン、レイヤー2不足は不幸中の幸い
ネイティブトークンを持ち、ブリッジとして機能するレイヤー2は、スケーリングソリューションとしてブロックチェーンの問題を解決することよりも、多くの問題をもたらすかもしれない。Trust Machineのそう考えている。
イノベーションにはアシスタントが必要だ。はるか昔から、偉大なイノベーションは、触媒、つまりイノベーションが最初のハードルを乗り越えるために必要なサポートによってのみスケールしてきた。
書物には印刷機が不可欠であり、フォード・モーター・カンパニーは大量生産を可能にした工場を、コカ・コーラはサプライチェーンを、ソーシャルメディアはスマートフォンを必要とした。そして今、ブロックチェーンはレイヤー2(L2)を必要としている。
私たちの世界に革命をもたらすテクノロジーやプロダクトをより多くの人のもとに届けるには、スケーリングに興味を持つ開発者たちが欠かせない。
暗号資産の最初のレイヤー2ソリューションは、ベースレイヤーであるレイヤー1を適切にスケールする必要性から生まれた。それ以来、レイヤー2は、スケーリング、トランザクションの高速化、手数料の低減、暗号資産のマスアダプションを実現するソリューションとしてアピールされている。しかし、暗号資産における真に効率的で安全かつ安定したスケーリングソリューションを実現することは、かなり難しい。
レイヤー2は、ソリューションではなく、むしろ問題の性質を変えるようなものになっている。レイヤー2が生き残るためには、ベースレイヤーのブロックチェーンの補完的なリソースとなる必要がある。イーサリアム、アバランチなどでは、レイヤー1を一時的に修復するレイヤー2エコシステムが確立している。
スケーラブルとはいえないビットコインは、こうしたレイヤー2の問題の新たな解決策を提示できるかもしれない。
ここ数カ月、ビットコインは単に価値を保存するだけでなく、決済レイヤーとして活用に関心が高まっている。Ordinalsを使ったビットコインNFTの発行、BRC-20トークンの作成、その他の予想外のユースケースによって、ビットコイン・ブロックチェーンのアキレス腱である「レイヤー2ソリューション不足」が再認識された。
しかし、これは不幸中の幸いかもしれない。
レイヤー1に機能を実装することは?
レイヤー2の本来のアイデアが、ベースレイヤーのブロックチェーンにとっての「圧力解放弁」を作ることだとすれば、それこそビットコイン開発者が実現できることだ。
sBTCのような最近のソリューションは、他のレイヤー2が苦戦していることを踏まえ、ビットコインのベースレイヤーのセキュリティと安定性に直接裏付けられたビットコイン・ネイティブのDeFi(分散型金融)やNFTなどのアプリケーションやエコノミーを開発者が実現できるようにすることを選んだ。
ベースレイヤーは、耐久性、不変性を備え、変更頻度が低く、エコシステムがレイヤー2の上で成長し繁栄することを可能にする基盤となる。
だが、L2ソリューションの機能をレイヤー1プロトコルに直接実装することはできないのだろうか?
テゾス(Tezos)は、レイヤー1を頻繁にアップグレードすることで、さまざまな機能をレイヤー1に直接実装する方法でスケーリングに取り組んでいるブロックチェーンの一例だ。
しかし、テゾスの開発者コミュニティでさえ、このやり方はまだ一時的なものに過ぎないと言うだろう。テゾスのレイヤー2エコシステムが、このチェーンの成功のために正しい取り組みとなるときが来るだろう。
レイヤー1とレイヤー2が区別できなくなるとき
フライホイール・エコノミー(小さな成功を蓄積し、継続的な成長につながる好循環を生み出すこと)は、ビットコインのベースレイヤーでは維持できない。その代わり、堅牢なエコシステムは、ベースレイヤーとレイヤー2の間で価値をシームレスに移動させ、次の普及サイクルに備えたアクセス性と柔軟性を実現する必要がある。
2013年にOmni Layer(オムニレイヤー)が登場し、レイヤー2の開発が10年続いた後、ビットコインはブロックチェーンのスケーラビリティに対する恒久的なソリューションを見出すリーダーとなるチャンスを得た。
現在のレイヤー2が抱える問題の少なくとも一部は、イーサリアム開発者が最近直面しているように、トークン発行によってベースレイヤーの整合性を乱し、希薄化させるレイヤー2の存在にある。レイヤー1とレイヤー2のエコシステムの間で資産をブリッジしなければならず、ますます混乱した、安全ではない環境を作り出すことになる。
そうではなく、開発者はベースレイヤーの優れたアイデアを盗まないような、補完的なレイヤー2を作らなければならない。つまり、ブロックチェーンは、レイヤー1とレイヤー2を区別できないときこそ、スケーリングの問題を解決したことになる。
レイヤー2にまつわる問題の解決策は、レイヤー2が必要な理由を忘れることだ。そしてそれは、誰もがダイエットコークについて知っているのに、ダイエットコークのサプライチェーンについては知っている人はほとんどいなかったり、ヘンリー・フォードの組立ラインについて知らないことと同じ。
今後10年、私たちはビットコインやイーサリアムなどについて知ることはあっても、そのメインストリームでの利用を支えるレイヤー2ソリューションのすべてについて知ることはないだろう。
テクノロジーについて真実が1つあるとすれば、誰もがその結果に注目するということ。結果を実現したマシンには誰も注目しない。