新型コロナ後遺症、診断基準の確立を!
2023/06/19
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/taniguchi/202306/580077.html

 当院で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症と考えられる事例を初めて診察したのは2020年の春。その後、次第に症例が増えたために、本連載でも紹介している(関連記事:長期的視野で「ポストコロナ症候群」に備えよ!)。2020年春のその当時は、まだ抗原検査、PCR検査とも希望してもできなかったために、「コロナにかかった」という患者の言葉を信じるしかなかったわけだが、「本当にそれはCOVID-19なのだろうか……」と疑わざるを得ない症例もあった。

 現在はそのような事例は激減し、少なくとも「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染した」のは事実であるケースが大半だと思う。だが、「コロナにかかってから倦怠感が取れず仕事に行けないから診断書をお願いしたい」と言われたときには悩むことが多い。当院をかかりつけにしていて、当院でCOVID-19の診断がついて、感染直後から継続して治療をしているような場合は、診断書を出すことに問題はないが、例えば「半年前にコロナに感染して後遺症でしんどくて、どこに行ってもきちんと診てもらえなくて……」という初診患者の診断書は簡単には書けない。