里親の孤立防いでつながりを 都内の支援団体がNPO法人化（毎日新聞）
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さまざまな事情から実親と暮らせない子どもを育てる里親や里子を支援する東京都八王子市内の民間団体「里親ひろばほいっぷ」が、ＮＰＯ法人になった。孤立しがちな里親同士がつながろうと、代表理事の坂本洋子さん（６６）が前身の里親サロンを始めて２０年。里親と里子、支援者らで作るグループは２１日、法人化を記念するパーティーを市内で開く。【野倉恵】
「学校の先生にわかってもらうには……」。６月上旬、市内の住宅街にある「ほいっぷ」拠点の民家。月２回の里親サロンで、市内や周辺の里親４人がテーブルを囲んでいた。「私は元里子が小学校でいじめられた時、担任や校長先生にくわしく手紙を書いた」。坂本さんの経験談に、小学生の里子について相談していた里親の女性がうなずく。別の里親の女性が「うちの子は一時荒れていたが、落ち着いてきた。先日、私の誕生日にケーキをくれました」。高校生の里子の近況を話すと、笑顔が広がった。
サロンは３８年間で１９人の里子を育ててきた坂本さんが２００３年、自宅居間を開放したのが始まりだ。初めて乳児院から迎えた男児と同じ小学校の仲間が、友人の家で１人をベランダに締め出すいたずらをし、全員で謝罪に行った。他の親子は許されて帰っても坂本さんらは保護者に許されず、頭を下げ続けた。「里親は甘い」「施設から来た子だから」。いざこざのたび周囲に責められて孤立し、追い詰められた。男児は８歳で児童養護施設に移り、その後も交流が続いたが、１７歳で不慮の事故で亡くなった。この痛切な経験から「里親同士で本音を語り、支えあおう」と踏み出した。
里親連携の先駆けとなったサロンには遠隔地に住む里親も駆けつけた。０７年に「ほいっぷ」を設立。１１年に里子会を立ち上げ、１６年から月１度の子ども食堂も展開する。任意団体から２月にＮＰＯ法人化した。
サロンの中心運営者の菱山優美さん（４６）は「通い始めた十数年前、気を張り詰めて向き合っていた幼児の里子が坂本さんの抱っこに落ち着き、初めて人に委ねられると思えた。先輩の助言が聞け、心境を話しわかってもらえる場は貴重」。里子会代表の坂本歩さん（２８）は「里子同士安心して本音を語れる場が大事」と話す。
坂本洋子さんは「虐待を受けた子などを育て、周囲との関係に悩む里親は多く、仲間の支えは不可欠。巣立った里子が充電できる居場所も作るため（税制上の優遇措置も受けられる）認定ＮＰＯ法人を目指す」と話している。
