内部丸見え「恥ずかしくて使えない」 JR高徳線・勝瑞駅のトイレに不満の声【徳島】(徳島新聞)
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JR高徳線・勝瑞駅(藍住町勝瑞)のトイレがプライバシーへの配慮を欠いて利用できないと、女性らから苦情の声が上がっている。出入り口が道路に面して視線を遮るついたてがなく、遠方からでも利用状況が分かるためだ。特急列車が停車する地域の基幹駅。近くには徳島北高校(徳島市)や国指定史跡・勝瑞城館跡などがあり、利用者は多い。ところが、駅舎を管理するJR四国や藍住町に修繕、改修する計画はなく、長年放置されている。

トイレは駅舎の南側に設置され男女兼用。男性用小便器と和式便器が各3台据え付けられている。出入り口に扉やついたてなどはない。駅のロータリーに向かって開いており、通行人からはトイレの内部が丸見えの状態となっている。

通学で駅を利用する女子高校生(17)は「恥ずかしくてとても使えない」と不満を口にする。近くで喫茶店を営む女性は「駅のトイレが使えないので、店に借りに来る人が頻繁にいる」とこぼす。

改善を求める声に対し、JR四国広報室は「当面は改修する計画はない」とする。広報室によると、施設はJRが所有し、現在の駅舎が整備された1957年以降、構造はほぼ変わっていない。改修する場合はJRが費用負担することに加え、列車内にトイレが備わっている点や駅の利用状況などを考慮し、現状を維持しているという。

一方、近年トイレを修繕した県内の駅では、所在地の自治体が費用を出した。鳴門市は2019年に約3400万円をかけて鳴門駅に公衆トイレを設置した。市観光振興課は「駅は外国人をはじめ観光客の利用が多い。駅舎の耐震化に合わせ、JRと連携して整備した」。

これに対し、勝瑞駅のある藍住町では「トイレは駅に用事がある人の利用が大半を占める。町が主体となって、民間企業の設備を改修することは現時点で考えていない」(政策推進室)とする。

近年は観光客を受け入れたり、地域美化を図ったりしようとトイレの整備に力を入れる地域が増えている。東京都渋谷区では有名建築家がデザインした公共トイレが17カ所設けられ、カンヌ国際映画祭で役所広司さんが男優賞に輝いた作品の舞台ともなった。

徳島大大学院の山中英生教授(都市計画)は「公共トイレは町の品格にもつながる。誰が費用負担するかという点はあるが、地元の高校生やボランティアらを巻き込んで地域を考える契機になるのではないか」と指摘している。